天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?(角谷貴斗 著、中央書院、2007年9月)の私たちの活用法と特徴・内容をご紹介します。
本書は化粧品メーカーで10年にわたって、様々な化粧品の処方開発に携わった専門家の手による成分と原料について、しっかりと解説された一冊です。美容成分や化粧品成分をしっかり理解するためのとても役立ちます。
古い本なので少し情報も古いのですが、とても勉強になります。
読みたいところから読める目次
1.「天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」の私たちの活用法
『天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?(角谷貴斗 著、中央書院、2007年9月) の活用法と内容・特徴』をお届けします。
本書は、ウェブサイトなどで毒性の高い成分として問題視されている化粧品成分について、化粧品を作っている専門家の立場から、その真偽について検証したものです。また、化粧品成分の有用性についても検証されています。
今や化粧品に関する情報は玉石混交。正しい情報から誤解までウェブ上に飛び交っています。
化粧品に批判的な方々の不安を煽るような情報もあれば、天然成分であれば安心というような情報までさまざまです。
本書「天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」は、そんな情報に対して、客観的に、かつ科学的に反論したものです。
2007年の出版で古い情報もありますが、成分についての理解を深めるにはとても参考になります。
化粧品成分の本としては、「化粧品成分ガイド 第6版 宇山侊男/岡部美代治/久光一誠」もありますが、こちらはガイドの名の通りたくさんの成分のポイントが紹介されています。
一方、「天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」は取り上げた化粧品成分を深く解説している点が特徴的です。
さて、本書に中で述べられていることで、今でもとても大切なことが印象に残りました。
要約すると、「化粧品において、最も大切なコトは、肌のバリア機能を支えるセラミドや天然保湿因(NMF)などを壊さないコトです。洗顔やクレンジングで肌のバリア機能を支える成分を奪うとどんなに高い美容液を使っても美肌をキープするのが難しい」という内容です。
これは、私たちがナールスエイジングケアアカデミーでも発信していることと全く同じ内容です。
本書では、12年も前からこうした情報をちゃんと発信されていたのです。
また、皮膚呼吸を妨げるという批判のあるジメチコンなどのシリコーンや、高分子ポリマーの1つであるカルボマーが安全な成分であることも言及されています。
今でもこれらの成分について誤った情報が飛び交っていることは残念ですが、これについても12年前から専門家の立場で正しい情報が発信されていたのです。
化学について知識がないと、少しマニアックで理解が難しい部分もありますが、真剣に化粧品成分について知りたい方には、おすすめの一冊です。(版元がすでに倒産しているため、新刊の入手は困難ですが、中古品などは今でも購入可能です)
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2.天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」の内容
天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」は、Part1とPart2に分かれています。
Part1では、「危ない」と言われている化粧品成分について検証しています。
また、その危険性が化粧品成分そのものではなく、不純物にあることが取り上げられています。
ほかにも、無添加化粧品や防腐剤、紫外線吸収剤などの安全性についてのQ&Aが掲載されています。
ナールスエイジングケアアカデミーでも紹介した化粧品成分としては、次のような成分が掲載されています。
- グリセリン
- エタノール(アルコール)
- グリチルリチン酸2K
- アラントイン
- スクワラン
- 水添レシチン
- トコフェロール(ビタミンE)
- 石けん
- グレープフルーツ果実エキス
- パラベン
- クエン酸
- マリンコラーゲン
- 加水分解コラーゲン
- BG
- PG
- PEG-60水添ヒマシ油
- キサンタンガム
Part2では、当時、新しいと言われていた化粧品成分の効果や安全性について解説されています。
ナールスエイジングケアアカデミーでも紹介した化粧品成分としては、次のような成分が掲載されています。
- アスコルビルリン酸Na(水溶性ビタミンC誘導体)
- テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(油溶性ビタミンC誘導体)
- ヒアルロン酸Na(保湿成分)
- ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1(EGF)
- ユビキノン(コエンザイムQ10 )
- FGF(Fibroblast Growth Factor=線維芽細胞増殖因子)
- 金コロイド
- グルコシルヘスペリジン
- トコフェリルリン酸Na
- クエン酸Na
3.「天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」の基本情報と目次
1)基本情報
単行本:245ページ
著者:角谷貴斗(化粧品処方開発者)
出版社:中央書院
出版年月日:2007年9月25日
定価:2,476円+税
2)目次
Part1 「危ない成分」は本当に怖いのか
天然成分だけで化粧品をつくるコトはできないのか?
化粧品安全性のQ&A
全成分表示の基本的な見方と上手な活用方法
化粧品の怖い話は本当?
化粧品タブー原料
化粧品原料を検証する-1
化粧品原料を検証する-2
化粧品原料を検証する-3
化粧品原料を検証する-4
Part2 進化し続ける化粧品成分
細胞増殖因子、ヒトオリゴペプチドの種類
ヒトオリゴペプチド-13について
α-リポ酸が復活
アルジリンなどアミノ酸ペプチドの仲間
アミノ酸ペプチドの仕事
最近のすぐれモノエキスの話その1
最近のすぐれモノエキスの話その2
安全性に着目すべき成分
金コロイドとナノ粒子の安全性
アシル化とシリル化
油溶性から水溶性にできた原料
油溶性ビタミンCを再認識
オイルの精製と酸化
VCの酸化を防ぐ3つの方法
永遠のテーマ、水溶性香科について
香科とフレバーの違いは
精油と「あるある?」騒動
医薬部外品の表記について
色も色々な別名称
医薬品原料の化粧品への配合
JOJOBAはご存知?
豊胸で有名なプエラリアミリフィカ根エキス
抗菌作用で注目のウンデシレン酸グリセリル
いま注目の泥、ヘクトライト
自然派歓迎の発酵法BGやPG登場
プロも知らないグリセリンの話
機能性保湿剤、ポリグルタミン酸の話
アミノ酸系活性剤の泡立ち比較
ジェミニ型界面活性剤について
化粧品の原料規格
肌と化粧品の基礎知識-1
肌と化粧品の基礎知識-2
肌と化粧品の基礎知識-3
肌荒れ事情
肌のサイクルと美肌の関係
水を通す穴、アクアポリンに着目
赤くなるのは刺激か血行促進か?
あとがき-水を扱うモノたち
4.編集後記
『天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?(角谷貴斗 著、中央書院、2007年9月) の活用法と内容・特徴』をお届けしました。
2007年発刊と比較医的古い本で、いかにも化粧品処方開発者の手による一冊といった感じの固い美容成分本です。
最近では、エイジングケア書籍レビューでも「お姫様の美肌図鑑(作・絵 たなかしん プロデュース 高橋典子 監修 まのえいこ)」や「世界一ためになる!美容成分図鑑 佐藤薫」や「化粧品選びの常識が変わる!美肌成分事典 かずのすけ 白野実」、「知れば知るほどキレイになれる!美容成分キャラ図鑑 小西さやか」といった漫画やイラストが方法な美容成分本が増えているので、なかなかとっつきにくいのが実際。
しかし、現場の化粧品開発に携わる実務的な研究者の視点で記された本書「天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?」はとても奥深い内容です。
化粧品成分を深く理解するにはおすすめの一冊です。
『天然成分だけで化粧品をつくることはできないのか?(角谷貴斗 著、中央書院、2007年9月) の活用法と内容・特徴』がエイジングケア世代の女性のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 やすだともよ)
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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