ナールスゲンはアミノ酸誘導体で、コラーゲン、エラスチン、ヒートショックプロテイン47や70、ヒアルロン酸を増やす作用がありますが、新たに口の粘膜の傷に対する治癒促進効果があることがわかりました。
今回は、マウスと培養線維芽細胞を使った口腔粘膜の創傷治癒に関する研究結果を紹介します。
また、加齢による口腔粘膜の変化や口腔粘膜のアンチエイジング法もご紹介します。
読みたいところから読める目次
1.ナールスゲンは口腔ケアにも効果的!?
「ナールスゲンの口の粘膜の傷が早く治る効果!医学論文で報告」をお届けします。
ナールスゲンといえば、ナールスエイジングケアアカデミーの読者ならよくご存じの成分ですよね?
京都大学と大阪市立大学で共同開発されたエイジングケア化粧品成分で、ナールスのエイジングケア化粧品のほとんどの製品で、主成分として使っています。
ナールスゲンが持つ美肌キープのための効果については、「大学発エイジングケア化粧品成分ナールスゲンは10の特徴で美肌を導く」や、「ナールスゲン。京都大学発エイジングケア化粧品の10の秘密」、「ナールスゲン配合の化粧水の選び方で失敗しない5つのポイントとは?」、「大学発エイジングケア化粧品成分ナールスゲンの作用メカニズムは?」といった記事でご紹介してきました。
ナールスゲンはアミノ酸誘導体で、真皮の線維芽細胞を活性化し、コラーゲン、エラスチン、ヒートショックプロテイン(HSP)47、HSP70、ヒアルロン酸を増やすという科学的根拠があります。
その他にも、次のようなはたらきがあります。
これらは学術論文や学会でも発表されており、ナールスゲンのエビデンスについては、「ナールスゲンのエビデンス(科学的根拠)を示す学術論文のご紹介」でまとめて紹介しています。
今回、新たにナールスゲンに期待されている「口腔ケア」に対する効果について、エビデンス(医学論文などのを科学的根拠)交えてご紹介します。
2.口の中の健康は、全身・お肌の健康にも関係している
口の中の健康は、全身やお肌を健やかに維持するのに深く関係していることが様々な研究で明らかになりつつあります。
しかし、年齢を重ねるにつれ唾液の分泌量は低下し、口腔内の粘膜は薄くなり、歯茎も薄くなって退縮し始めます。
そのため、さまざまな病気のリスクに大きく関わっています。
1)唾液は口腔環境の維持に大切
「口の中の健康を守ってくれている」のが唾液です。
以下に挙げる重要な働きを持っています。
- 食べ物をスムーズに飲み込めるようにする
- 味を感じやすくさせる
- 唾液に含まれるアミラーゼが消化酵素として働く
- 虫歯や歯周病、外から入ってくるウイルスのはたらきを抑える
- 再石灰化を促進して、歯のエナメル質を修復
- 食事後、酸性に傾いた口腔内の環境を中和する
食べカスや口の中に残った汚れを洗い流して、口腔内を清潔にする
唾液の分泌量は1日1~1.5リットルと言われており、唾液が口腔粘膜をうるおして保湿しています。
しかし、唾液の分泌量は20代のプレエイジングケア世代をピークに30代のエイジングケア世代の始めから~40代のエイジングケア世代の真っただ中にかけて減っていき、70歳以上になると分泌量は半分以下になるそうです。
分泌量が減ると口腔内が乾きやすくなり、粘膜が弱くなります。高齢の方ではドライマウスがひどくなってくると、口から食事をとるのが困難になったり、咀嚼機能や嚥下機能が低下していく、いわゆる「オーラルフレイル」になります。
オーラルフレイルの危険性がある人は5割以上いるという調査結果もあります。オーラルフレイルになると体力や筋力も低下し、全身の老化へとつながります。
言い換えれば、オーラルフレイルは全身の老化を見つけることができる早期のサインとなりますので、「日本歯科医師会のオーラルフレイルセルフチェックシート」でセルフチェックしてみるのも良いでしょう。
詳しくは、「老化に影響大の「オーラルフレイル」。危険性がある人は5割超え!」の記事を参考にしてください。
また、抗アレルギー薬、降圧薬、利尿剤などの副作用、喫煙、歯列不整、不適合な義歯の使用により口腔内に慢性炎症がある状態、内科的疾患、糖尿病、シェーグレン症候群などの自己免疫疾患、腎障害なども唾液を減少させる原因です。
2)口腔内の粘膜が弱くなる
口腔内の粘膜が薄くなると、物理的・化学的な刺激によって傷ができやすくなります。
また、口腔粘膜も加齢に伴い再生されにくくなるので、口内炎などの炎症も治りにくくなる可能性があります。
3)歯茎が薄くなり退縮し始める
加齢とともに歯茎が薄くなって退縮し始めます。
そうなると歯の根元が露出します。
この原因には様々ありますが、最も多いのが「歯周病」です。
また、歯茎が弱っているところに、毎日の歯磨きで強くブラッシングしていると歯茎を傷つけてしまい、擦過傷という症状を起こしてしまいます。
以上ご紹介したように、唾液の分泌が低下し、歯周病になってしまったり、口腔内に慢性炎症があると活性酸素が放出されて、たるみやしわといった口の周りの皮膚の肌老化につながる可能性があります。
とくに、シワの肌悩みには口の周りのシワ、ほうれい線やマリオネットライン、下あごのシワと様々な種類がでてきます。
<参考>・秋本和宏.高齢者における口腔粘膜の加齢に伴う構造変化に関する観察-口角付近の頬粘膜について-.口病誌 71; 80-94, 2004.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/koubyou1952/71/2/71_2_80/_pdf
・日本口腔外科学会「口腔内のトラブル」
https://www.jsoms.or.jp/public/soudan/kouku/itai/
・Straumann PARTNERS. 「唾液とは?~驚くべき効果と分泌量を増やす方法」
3.ナールスゲンには口腔粘膜の傷の治癒を促進する効果がある?!
ここからは、ナールスゲンの口腔粘膜の傷の治癒効果に関する研究についてご紹介します。
この研究を発表したのは、日本大学大学院松戸歯学研究科の佐久間圭氏らです。
人間を含めてほとんどの生物が持っている、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)という酵素があります。
簡単な例でいうと、健康診断で肝機能の状態をみるときの数値としてγ-GTPやγ-GPTというのを聞いたことがあるかと思いますが、GGTはこの酵素のことを言います。
ナールスゲンは、このGGTを阻害するはたらきがあり、この作用がコラーゲンやエラスチン、HSP47などの産生を増やします。
このナールスゲンを投与することで、口内炎のできたマウスで治癒促進効果が見られ、ナールスゲンが口内炎の治療薬として有用性が高いとの報告があります。
佐久間氏らは、ナールスゲンが口腔の傷の治癒促進にも有用性があるのではないかと、培養した歯肉線維芽細胞(HFG-1)を用いて、細胞増殖の抑制因子(TGF-β1)との関係性と、ナールスゲンの影響について検証しました。
また、マウスの口蓋粘膜の傷にナールスゲンを塗布した効果も検討しました。
結果は、傷を模した掻きとり面(2mm幅)をつけた歯肉線維芽細胞では、ナールスゲンによって傷の閉鎖能が高められ、細胞増殖抑制因子の存在下でさらにその機能が高められる可能性があることがわかりました。
また、マウスを用いた実証実験でも、口蓋粘膜の傷にナールスゲンを塗布したマウスの方が、塗布していないものよりも傷の治癒が早く、瘢痕も認められませんでした。
口腔粘膜は皮膚よりも傷の治癒が早いものの、糖尿病や免疫機能低下、低栄養の状態などでは治癒しにくく、QOLの低下を招く可能性があります。
ですが、ナールスゲンを塗布することで、歯肉をはじめとした口腔粘膜の傷の治癒を促進することがわかり、口腔ケアにおける有用性に期待が広がります。
GGTとナールスゲン、グルタチオンの関係性については、「抗酸化物質グルタチオンとナールスゲンのとても不思議な関係」で詳しく解説していますので、こちらも是非お読みください。
<参考文献>
佐久間圭, 田中 陽子.γ-glutamyl transpeptidase阻害剤における口腔粘膜創傷治癒への効果の検討.障害者歯科 41; 1-11, 2020.
4.口のアンチエイジングはナールスゲンだけに頼らない!
ナールスゲンの口腔ケアに対する有用性をご紹介しました。
ナールスゲンは肌のバリア機能を修復するだけでなく、「口腔粘膜のバリア機能」も修復するようです。
さて、ナールスゲンだけでなく、日頃からできる「お口のアンチエイジング」もありますのでご紹介します。
- 唾液の量を増やすために、食事中の咀嚼の回数を増やす。
- ガムを噛んで、唾液の分泌を促す。ガムの種類は虫歯予防効果のあるキシリトール配合のものがより効果的。
- 口腔内を乾燥させないために、水分を多めに摂る。また、うがいをする(できれば食後や就寝前)。
- 老化の原因となる喫煙を控える。
- お酒は適量にとどめる。
- 口腔内を清潔に保つ。
- 口内炎ができやすい人は、ビタミンB群、特にビタミンB2を豊富に含む食べ物やサプリメントを積極的に摂るようにする。
ビタミンB3のナイアシンも、皮膚粘膜の炎症を防ぐ働きがあるので、サプリメントを利用するときは、多くのビタミンBが入ったものを選ぶ方が、より効果的。
その他にも、口腔内の乾燥による口のまわりのほうれい線や、シワ、たるみといった肌悩みは、紫外線にさらされることでより深い悩みになる可能性もあります。
これらも食べ物や飲み物でアンチエイジングができますので、ぜひ、以下の記事をご参考にして予防してみてくださいね。
*スーパーフードはアンチエイジング・美容・ダイエットに効果!
*紫外線対策の食べ物と飲料!日焼けや肌老化を防ぐ7つの栄養素とは?
5.編集後記
「ナールスゲンの新しい効果!口の粘膜の傷が早く治る?!」をお届けしました。
ナールスピュアの開発時に、ナールスゲンを開発された京大の平竹教授などからお話を伺う機会があり、その頃から、傷の治癒促進効果があることは聞いていて、本当にあらゆる方向に可能性が広がる成分なんだと驚いた記憶があります。
余談ですが、いまは、切り花の長持ち延命研究もされているそうです。
口の内側の機能が衰えてくると、食べるのもおっくうになったりしますし、高齢の方の栄養不足なども問題となっています。
今から将来のからだと肌のために、歯科で定期的にメンテナンスを受けたり、ビタミンBだけでなく、からだに必要な栄養素をバランスよく食べて、良い睡眠やウォーキングなどの軽い運動をして、からだ自体の機能低下を遅らせるように努めていこうと、改めて思いました。
それが、ひいては美肌につながりますしね。
もちろん、ナールスゲンのエイジングケア化粧品でエイジングケアをするのは必須です。
「ナールスゲンの新しい効果!口の粘膜の傷が早く治る?!」が、ナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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