基底膜は表皮真皮結合部(DEJ)とも呼ばれ、表皮と真皮の間にあります。
とても薄い膜ですが、お肌の若さやハリを保つ上でとても大切な役割があります。
この記事では、基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)の構造や役割、ダメージを防ぐためのスキンケアやエイジングケアなどの対策をご紹介します。
- 基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)とは何かがわかります。
- 基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)の構造や役割・はたらきがわかります。
- 基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)を守るスキンケアや化粧品がわかります。
京都大学農学部卒医薬品業界歴30年以上の専門家の執筆記事
ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。
岩手医科大学歯学部卒業後、都内歯科矯正施設で矯正歯科医として表側・裏側矯正や小児の顎骨成長発育誘導多数から成人矯正まであらゆる矯正治療を習得。
その後、矯正と審美歯科、美容皮膚科、美容外科、再生医療、免疫療法を組み合わせた日本で初めてのトータルビューティを実現できるクリニック「医療法人社団 サカイクリニック62」を開業。
歯と美容医療を組み合わせたパイオニアとしてドクター向け講師として活躍する稀有な存在として有名。
得意分野は、口元と肌の若返り美容。美容マシンに関する目利きがずば抜けており、世界でも安全・安心で効果の高いマシンを毎年数台導入するなど、常に患者さまにとって満足度の高い施術を行えるよう心がけている。
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1.基底膜を守って美肌をキープしたいあなたへ
「基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)は美肌に大切!スキンケア法は?」をお届けします。
最近、肌の老化の関係が明らかになってきたことから、注目されつつある基底膜。
表皮と真皮の間にあり、表皮基底膜または表皮真皮結合部(DEJ= Dermal Epidermal Junction)と呼ばれることがあります。
肌の表皮と真皮はもともと成り立ちが違うのですが、その間にあるのが基底膜です。
たった約0.1 mmの薄さしかありませんが、肌を支えて美肌をキープするためにとても大切なのです。
また、血管を持つ真皮と血管を持たない表皮とが、酸素、栄養素および老廃物の交換を行う際にも大切な役割を果たします。
逆に基底膜が紫外線でダメージを受けると、顔のたるみやしわ、シミなどの肌悩みの原因の1つになることがわかってきました。
そんなことから、最近では美容専門医が書籍の中で「DEJ」を取り上げられています(*1)。
(*1)医者が教える 人生が変わる美容大事典 P196 (上原恵理 著、KADKAWA 刊)
また、DEJのアプローチする成分を配合したエイジングケア化粧品も登場しています。
この記事では、基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)の構造や役割を詳しくご紹介します。
また、ダメージを防いで肌老化を予防するためのスキンケアやエイジングケアなどの対策をご紹介します。
「基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)って何?肌のどこにあるの?」
「基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)のはたらきや役割は?なぜ、肌に大切なの?」
「守るためのスキンケアやエイジングケアは?教えて!」
「基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)をサポートする化粧品はあるの?知りたい!」
「肌を守るためにほかに大切なことは?」
などが気になる方は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。
<基底膜のケアにおすすめのコスメ>
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- 基底膜は、表皮と真皮の間にある1mmの薄いシート状の層です。表皮基底膜または表皮真皮結合部(DEJ= Dermal Epidermal Junction)と呼ばれることがあります。
- 基底膜は、表皮細胞、透明板、基底板、線維細網板の4つのパーツからなる構造です。ラミニンやⅣ型コラーゲン、Ⅶ型コラーゲンなどの成分があります。
- 基底膜のはたらきは、表皮と真皮をしっかり結びつけ、皮膚の構造を守ることです。また、表皮へ栄養素を届けたり、細胞の分化をコントロールするなど、肌にとって大切なはたらきがあります。しかし、エイジングや紫外線ダメージによって衰えることで、たるみやしわ、シミなどの肌老化の原因になってしまいます。
- 基底膜を守るために最も大切なことは、紫外線対策です。年中、紫外線をブロックしましょう。また、保湿ケアや肌を清潔に保つことも大切です。
- 最近では、基底膜に着目した化粧品成分も登場しています。ペプチドやヒメフウロエキスなどがあります。
- 近年、基底膜とコラーゲンの研究が進み、さまざまなことがわかってきました。また、肌老化との関係も明らかになりつつあります。
- 基底膜をはじめ肌を守る上で大切なのは、毎日の生活習慣です。バランスの良い食事や十分な睡眠を心がけましょう。
2.基底膜とは?
基底膜がダメージを受けると、上にある表皮にも下にある真皮にも悪影響を与えます。
20代のプレエイジングケア世代で肌が健康なら、基底膜が強く壊れにくく、ダメージがあっても修復が可能です。
しかし、30代、40代、50代とエイジングが進んだり、紫外線ダメージが蓄積すると、修復する力が弱まります。
その結果、肌悩みや肌老化につながるのです。
そんな基底膜は、かつて一枚だと思われていましたが、何層も見られる部分があることが発見されました(*2)。
その後、基底膜の研究が進み、今ではその構造や役割が解明されてきたのです。
1)基底膜の構造
基底膜は、厚さがわずか0.1mmの薄い膜で表皮の基底層の一番下にシート状の膜として存在します。
そんな薄い膜なのに、最上部の表皮細胞と透明板、基底板、線維細網板の4つのパーツで成り立っています。
<基底膜の構造>
①表皮細胞
基底層には、表皮細胞があります。これはケラチノサイトまたは基底細胞とも呼ばれます。
基底膜は、表皮細胞につながっているヘミデスモソーム、アンカリングフィラメント、アンカリング線維といった構造があります。
②透明板
透明板は表皮細胞と基底板の間にあります。
透明板には、ラミニンを主成分としています。
これは、基底膜の足場としてとても大切な役割を果たします。
ほかには、フィブロネクチン、プロテオグリカン、17型コラーゲン、インテグリンなどがあります。
17型コラーゲンは、基底膜と表皮細胞のヘミデスモソームを直結させています。
③基底板
基底板は透明板の下にあります。
基底板にはエンタクチンやヘパラン硫酸プロテオグリカンなどの糖たんぱく質があります。
エンタクチンは、透明版のラミニンと基底版の下のⅣ型コラーゲンを結び付けています。
④線維細網板
線維細網板は、基底膜の最下層にある細網線維の薄層です。
これは、多糖類・糖たんぱくが豊富な基質です。
線維細網板は、Ⅶ型コラーゲンによって、基底版と結びついています。
また、インテグリンやⅣ型コラーゲンとも結びついています。
さらに、真皮のI型コラーゲンとも結びついています。
このように基底膜は複雑な構造を持っています。
2)基底膜の役割・はたらき
基底膜の役割は、表皮と真皮をしっかりつなぐことで、肌が健やかな状態を保つのをサポートすることです。
基底膜は、先ほどお話したラミニン、Ⅳ型コラーゲン、Ⅶ型コラーゲン、17型コラーゲン、プロテオグリカンなどから成り立っています。
それらがそれぞれの役割を果たし、基底膜を機能させています。
そんな基底膜の役割を整理すると次の5つになります。
①表皮と真皮の構造を維持
基底膜は、真皮としっかりつながることで、上部にある表皮を支えるはたらきがあります。
また、真皮の構造を維持するはたらきもあります。
②結合と分離
基底膜は、真皮と表皮を結合させる一方で、自分自身がその名のとおり、「膜」となって皮膚を分離させています。
この結合と分離によって、皮膚のはたらきをコントロールしています。
③表皮への栄養供給
表皮には血管がないので、直接、栄養を届けることはできません。
基底膜は、フィルターを通して、真皮か表皮へ栄養を届けます。
また、表皮の代謝物を真皮へ通過させる機能があります。
④皮膚細胞の分化や調整
基底膜の中で、表皮基底細胞だけが増殖する能力があります。
これが、基底膜から離れると細胞が分化します。
また、基底膜はケラチノサイトの酵素産生も制御するはたらきもあります。
⑤自己修復機能
基底膜は、肌に重要な役割を果たすことから、ダメージを受けても修復することが可能です。
そのはたらきをするのが、ラミニン5とその産生を促進する細胞増殖因子です。
これらは、基底膜修復因子と呼ばれています。
また、基底膜は、創傷などが起こった場合、治癒をサポートします。
このように基底膜に肌に大切なはたらきがありますが、エイジングや紫外線ダメージなどを受けると構造が崩れたり、機能が低下してしまいます。
<健やかな肌の基底膜(DEJ)の構造>
<加齢によって変化した基底膜(DEJ)の構造>
3.基底膜(DEJ)を守るスキンケアの基本
1)最も大切なのは紫外線対策
紫外線によってダメージを受けることで、分解酵素が作られⅣ型コラーゲンなどが破壊されます。
その結果、基底膜もダメージを受けて変性したり、機能低下が起こります。
また、表皮、真皮も含めダメージを受けてバリア機能低下やターンオーバーの乱れにもつながってしまいます。
その結果、顔のたるみやしわ、ほうれい線が目立ったり、メラニンの蓄積でシミや顔のくすみが気になるようになってしまいます。
だから、基底膜を守るために最も大切なのは、紫外線対策です。
紫外線は、春や夏だけでなく年中、地上に降り注いでいます。
秋や冬も日焼け止めを使うなど、紫外線対策をしっかり行いましょう。
また、衣類や帽子、日傘などファッションで紫外線対策を行ったり、目元のしわを防ぐためにUVカットサングラスを使いましょう。
2)保湿ケアも大切
保湿を行うことも基底膜にとって大切です。
スキンケアやエイジングケアで使う化粧品は、表皮の角質層までしか届きませんが、それをしっかり守り、皮脂や天然保湿因子(NMF)、セラミドをキープすることでが、結果的に基底膜を守ることにつながります。
刺激が小さな良い保湿成分を使って乾燥肌対策を行うことが大切です。
3)洗顔やクレンジング
ターンオーバーを正常化するためには、メイクや汚れを毎日、しっかり落とすことも大切です。
特に、油分が必要以上に残っていると肌が酸化して、肌のダメージになってしまいます。
ただし、汚れを落とす際は、摩擦を与えないように、泡やジェルなどで優しく洗うことが大切です。
また、インナードライ肌や敏感肌や肌質が弱い方はアミノ酸系の洗浄成分を使った洗顔料やクレンジング料がおすすめです。
4.DEJにアプローチする化粧品成分
最近では、DEJに着目したエイジングケア化粧品成分が登場しています。
また、商品に「DEJ」と名前がついたアイテムも登場します。
ここでは、DEJに着目した化粧品成分をご紹介します。
ただし、化粧品成分が届くのは、表皮の角質層までです。
成分として機能性や実験データがあっても、必ずしもそれを配合した化粧品が効果を発揮するものではありません。
1)ペプチド
ペプチドとは、アミノ酸が2個〜数十個つながった成分です。
DEJを強くしたり、修復を助けるものがあります。
EGF(上皮細胞成長因子)として有名な細胞賦活成分の1つであるヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1やFGF(線維芽細胞増殖因子)として有名なヒト遺伝子組換ポリペプチド-11をはじめ、FGFに似たはたらきをするアセチルデカペプチド-3、酸化や糖化を防ぐカルノシン、パルミトイルトリペプチド-1とパルミトイルトリペプチド-7の2つのペプチドを混合した製品が、「マトリキシル3000」などがあります。
2)ヒメフウロエキス
ヒメフウロエキスは、ヒメフウロ(姫風露)の全草から抽出されるエキスです。
タンニン、フラボノイド 、ポリフェノールなどが主成分です。
光老化に深く関わっている酵素「トリプターゼ」のはたらきを阻害することで、Ⅳ型コラーゲンの減少を抑えます。
その結果、基底膜を守るのをサポートします。
3)リピデュール
基底膜を丈夫に保つためには、ラミニンが大切です。
ラミニンが豊富にあると、基底膜と表皮とのつながりが強固になったり、修復力も高まります。
そんなラミニンの1つであるラミニン5の産出を促す成分が、リピデュールです。
真皮細胞の上に表皮細胞をのせた皮膚モデルにこのリピデュールを加えると、表皮細胞がラミニン5をたくさん産み出し、状態のよい基底膜を生み出すことを資生堂が発見しました。
5.基底膜とSPARCとコラーゲン
肌のコラーゲンは9種類あります。
Ⅰ型コラーゲンは真皮の約7割を占め、三重のらせん構造で肌の土台をつくっています。
一方、Ⅳ型とⅦ型コラーゲンは基底膜の主要な構成成分です。
SPARC(スパーク)とは、細胞の増殖や分化、移動などを促進させるといった、多彩な機能を持つタンパク質で、肌では表皮と真皮でつくられることがわかっています。
花王グループは、肌のコラーゲンに対してSPARCが重要な役割を果たしていると考えて研究を進め、2012年には、SPARCが1型コラーゲンの産生を促進することを発見しました。
その後、2021年にSPARCによるⅣ型とⅦ型コラーゲンの産生促進効果と基底膜の形成促進を発見しました。
これらの知見から、SPARCは複数の種類のコラーゲン産生に同時にはたらきかける司令塔としての役割を果たすことが、世界で初めて明らかになりました。
このようにSPARCは、基底膜ほか肌にとってとても大切です。
6.毎日の生活習慣で基底膜を守ろう
アンチエイジングを意識したよい生活習慣は、美肌や健やかな素肌を導く基盤です。
基底膜を守る上でもとても大切です。
バランスのよい食習慣、十分で質の高い睡眠、適度な運動が肌老化を避ける日常生活の基本です。
つまり、アンチエイジングを意識した健康的な生活習慣になります。
低体温を避ける工夫や喫煙を避けること、楽しく過ごすことも基底膜だけでなくお肌全体にとっての大切な生活習慣です。
アンチエイジングや健康によい生活習慣を基盤として、エイジングケア化粧品によるスキンケアを行えば、健やかな素肌が手に入ります。
その上で、自分に合ったエイジングケア化粧品を上手に選べば、美肌をキープすることが可能です。
7.まとめ
基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)の構造や役割、ダメージを防ぐためのスキンケアやエイジングケアなどの対策をご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
表皮や真皮のことは知っていても、基底膜について詳しくご存知の方は多くないのでないでしょうか。
基底膜は、性質の異なる表皮と真皮をしっかり固定するはたらきや表皮に栄養素を届けるはたらきなどがあります。
これらは肌にとってとても大切なはたらきです。
しかし、加齢や紫外線ダメージによって基底膜は衰えてしまいます。
基底膜を守るためには、紫外線対策をはじめとするスキンケアやエイジングケアが大切です。
さらに、正しい生活習慣を身につけることも大切です。
この記事「基底膜(表皮真皮結合部=DEJ)は美肌に大切!スキンケア法は?」が、エイジングケア世代の皆様のお役に立てば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト。
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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