1.「スキントラブルケア パーフェクトガイド」の概要
医師や看護師といえども、皮膚専門医でなければ、スキントラブルが起こった場合の対処法をすべて理解することは至難の業です。
本書は、臨床現場で出会うであろうスキントラブルについて、50名近くの医師や看護師他専門家が、その病態、検査、治療、予防、ケアについてまとめたバイブル的な一冊です。
ナールスエイジングケアアカデミーのエイジングケア書籍レビューでは、主に一般の方向けの書籍をご紹介することが多いのですが、「スキンケアの科学 田上八朗」や「あたらしい皮膚科学第3版」などと同じく専門家向けの一冊となります。
ただし、本書「スキントラブルケア パーフェクトガイド」は、いま挙げた2冊とは異なり、看護やケアにも触れている点がユニークです。
私たちや一般の方にとっては専門性が高くやや難解な部分もありますが、皮膚の構造や役割やスキンケアの医学的な考え方を理解するためにとても役立ちます。
エイジングケア化粧品を使う以前に美肌をキープするための大切な知識が満載の一冊です。
本書は、Chapter1からChapter9までの9つの章で構成されています。
Chapter1では、皮膚の構造や役割、スキンケアやエイジングケアの基本が学べます。
一般の方にとっては、この章を理解するだけでも十分に毎日のスキンケアに役立ちます。
そこで、この章については詳しくご紹介します。
- 「皮膚の機能を踏まえたスキンケア」では、バリア機能の大切さが強調されています。特に、石けんによる洗浄も高齢者の乾燥肌のリスクになるので、十分なすすぎと保湿ケアの重要性が説かれています。
- 「皮膚の症状を踏まえたスキンケア」では、ふんだんに写真を使って、皮膚の症状と正しい呼び方が紹介されています。紅斑(こうはん)、色素斑(しきそはん)、鱗屑(りんせつ)など皮膚症状を表す言葉はたくさんありますが、正しく使うのは難しいので、写真で解説してもらうと理解しやすくなります。
- 「年齢とともに考えるスキンケア」は、いわばエイジングケアについて。
ドライスキン(乾燥肌)のケアには、保湿の3大因子である皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、セラミドを守ることが大切であること、皮脂欠乏性湿疹、乾燥肌対策について紹介されています。また、過剰な水分でもバリア機能低下が起こることにも注意喚起されています。
- 「外用薬を理解したスキンケア」では、軟膏とクリームの違いやワセリン、ヘパリン類似物質、セラミド、尿素などの保湿剤の紹介がなされています。また、保湿剤の使い方やステロイド外用薬についても触れられています。
- 「創傷治療促進のためのスキンケア」では、創傷治癒の4つの過程や阻害因子などが解説されています。ここはかなり専門的な内容です。
- 「老化防止のスキンケア」は、高齢者と子供の肌の違いや紫外線ダメージと肌老化について。
紫外線のUVAがシワの原因になること、UVBがシミの原因になることが触れられています。
興味深いのは、光老化では、コラーゲンやヒアルロン酸は減るものの、プロテオグリカンやエラスチンが変性しつつ増えることです。
また、最近話題の「スキン-テア」(皮膚粗鬆庄)についても紹介されています。
- 「皮膚症状に関わる検査」では、皮膚描記法や真菌検査などの検査法が紹介されています。
Chapter2では、アトピー性皮膚炎、皮膚腫瘍、手湿疹ほか15の皮膚疾患の症状、原因、治療法がまとめられています。
Chapter3では、がんや透析などに伴うスキントラブルと対処法が解説されています。
Chapter4では、さまざまな診療科に共通するスキントラブルの予防や対処法が解説されています。
Chapter5では、褥瘡など外科におけるスキントラブルの予防や対処法が解説されています。
Chapter6では、ステロイド薬の長期服用など内科におけるスキントラブルの予防や対処法が解説されています。
Chapter7では、気管挿管チューブ固定の際などのクリティカルケアにおけるスキントラブルの予防や対処法が解説されています。
Chapter8では、がんの化学療法や放射線治療に伴うスキントラブルの予防や対処法が解説されています。
Chapter9では、フットケアとして、糖尿病患者のスキントラブルとフットウェアが紹介されています。
エイジングケアやアンチエイジングについての直接的な内容はありませんが、スキンケアや皮膚疾患の専門知識が満載の一冊です。
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2.「スキントラブルケア パーフェクトガイド」の基本情報と目次
1)基本情報
単行本:398ページ
著者:内藤亜由美 安部正敏
出版社:株式会社学研メディカル秀潤社
出版年月日:2013年7月5日
定価:4,000円+税
1)目次
Chapter1 知的スキンケアのための皮膚の基礎知識
- 皮膚の構造を踏まえたスキンケア
- 皮膚の機能を踏まえたスキンケア
- 皮膚の症状を踏まえたスキンケア
- 年齢とともに考えるスキンケア
- 外用薬を理解したスキンケア
- 創傷治療促進のためのスキンケア
- 老化防止のスキンケア
- 皮膚症状に関わる検査
Chapter2 おさえておきたい皮膚疾患
- 湿疹・皮膚炎
- 蕁麻疹
- 真菌感染症
- 薬疹・中毒疹
- アトピー性皮膚炎
- 細菌感染症
- ウイルス性発疹症
- 疥癬
- 分子標的薬による皮膚傷害
- 皮膚腫瘍
- 膠原病・血管炎
- 光線過敏症
- デルマドローム
- 手湿疹
- うっ帯性皮膚炎
Chapter3 スキンケアトラブルに関する病態理解
- がん化学療法に関する総論
- 乳癌の治療に関する総論
- 透析治療に関する総論
- SSI(手術部位感染)に関する総論
- 整形外科の固定法
- 栄養とスキンケアトラブル
- 深部静脈血栓症
Chapter4 各科に共通するスキンケアトラブルの予防・対応
- 軽度の褥瘡の予防・対応
- MDRPU(医療関連機器圧迫創傷)とは
- NPPV(非侵襲的陽圧換気)を受ける患者のスキントラブル
- 経鼻カテーテル挿入中のスキントラブル(胃管、イレウス管)
- ギプス・シーネ固定部のスキントラブル
- 点滴ルート固定部のスキントラブル
- スキン-テアの予防・対応
- 下痢によるIAD(失禁関連皮膚炎)の予防・対応
- 出血傾向のある患者のスキントラブル
- 瘙痒感のある患者のスキントラブル
Chapter5 外科系でのスキントラブルの予防・対応
- チューブ・ドレーン創周囲のスキントラブル
- 陰圧閉鎖療法を成功させるための看護ケア
- ストーマ周囲のスキントラブル
- 瘻孔周囲のスキントラブル
- 陰圧閉鎖治療中患者のスキントラブル
Chapter6 内科系でのスキントラブルの予防・対応
- ステロイド薬を長期間内服中のスキントラブル
- 胃瘻周囲のスキントラブル
- 皮膚感染症をもつ患者のスキントラブル
- 透析患者のスキントラブル
Chapter7 クリティカルケア領域でのスキントラブルの予防・対応
- 気管挿管チューブ固定部・気管切開口周囲のスキントラブル
- GVHD(移植片対宿主病)患者のスキントラブル
- TEN(中毒性表皮壊死症)患者のスキントラブル
Chapter8 がん患者のスキントラブルの予防・対応
- がん化学療法中のスキントラブル
- がん放射線治療中のスキントラブル
- がん性皮膚潰瘍
Chapter9 フットケア
- 糖尿病患者のスキントラブルとフットウェア
索引
著者・編集者・校正者情報
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子)
大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。
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