ヘパリン類似物質は医薬品!美容目的で使うのはNG

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皮脂欠乏症など皮膚の病気に使われる「ヒルドイド」などのヘパリン類似物質。

保湿、抗炎症、血行促進の作用がある医薬品です。

最近では、誤って美容目的で使われるケースがありますがNGです。

この記事では、ヘパリン類似物質の効果や作用、副作用などをご紹介します。

ヘパリン類似物質は医薬品!美容目的で使うのはNGの目次

1.ヘパリン類似物質は美容目的で使ってはいけない!

ヘパリン類似物質について注意する女性

「ヘパリン類似物質は、シワなどに効く究極のアンチエイジングクリーム!」などのフレーズを耳にしたことはありませんか?

これは間違いです。

「ヒルロイド」(マルホ株式会社)に代表されるヘパリン類似物質は、使用のためには医師の処方せんが必要な医療用医薬品です。

しかし、「保湿クリーム」としてスキンケアやエイジングケアに使う目的で、皮膚科を受診して処方してもらおうとする方が増えたことで、社会問題にもなったのです。

ヘパリン類似物質の効能・効果は、進行性指掌角皮症皮脂欠乏症などの皮膚疾患で、主に皮膚の保湿が必要な疾患に対して用いられます。これらの疾患が医師によって診断されて初めて、健康保険も適用されるのです。

だから、これを美容目的で使うことは正しい使用法ではありません。

また、現在、国家予算の大きな割合を占める医療費を圧迫することにもつながります。

まず、ヒルドイドをはじめとするヘパリン類似物質は美容目的で使ってはいけないことを理解しましょう。

もちろん、ヘパリン類似物質は、50年以上昔から日本国内で使われてきた有用性の高い医薬品です。

そんなヘパリン類似物質がどんなはたらきをするのか、また安全性などを理解することは、皮膚の健康やエイジングケアを深く理解する上でも大切です。

この記事では、そんなヘパリン類似物質の効果や作用、副作用などをご紹介します。

「ヘパリン類似物質って何?」

「ヘパリン類似物質のはたらきは?」

「ヘパリン類似物質は、どんな皮膚の病気に使えるの?」

「ヘパリン類似物質の副作用や安全性は?」

「ヘパリン類似物質の使い方は?」

などについて知りたい方は、ぜひ、続きをチェックしてくださいね。

<この記事の大切なポイント>
  • ヘパリン類似物質は、皮膚の病気の治療のために、50年以上使われてきた医薬品です。体内にある「へパリン」という物質と似た成分であることから、「ヘパリン類似物質」と呼ばれています。
  • ヘパリン類似物質は、表皮の奥の基底層まで達して、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用の3つを発揮します。そのはたらきで、進行性指掌角皮症や皮脂欠乏症をはじめ、乾燥肌と関係のある多くの皮膚疾患に効能・効果を発揮します。
  • ヘパリン類似物質の医薬品は、クリーム、軟膏、ローション、フォーム、外用スプレーなど剤型がいくつかあります。肌の状態、用途や使用感に応じて適切なものを選ぶことが可能です。
  • ヘパリン類似物質は作用がおだやかで、比較的副作用の少ないお薬です。それでも、発疹や皮膚炎、肌の赤み、かゆみ、皮膚のピリピリ感などが現れることがあります。その場合は、使用を中止して医師に相談しましょう。
  • ヘパリン類似物質を美容やアンチエイジング目的で使うことは間違いです。そうした使い方は避けましょう。

2.ヘパリン類似物質とは?

ヘパリン類似物質のイメージ

ヘパリン類似物質は、乾燥肌と関連する皮膚の病気の治療のために、50年以上使われてきた成分です。

体内にある「へパリン」という物質と似た成分であることから、「ヘパリン類似物質」と呼ばれています。

実際に、皮膚科で処方される医薬品名は、「ヒルドイド」が代表的なブランドです。

他にも、後発品として「ビーソフテン」(帝國製薬)「ホソイドンゲル」(東和薬品)などがあります。

また、最近では一般医薬品として「アットノン」(小林製薬)も販売されています。

ヘパリン類似物質は、D-グルクロン酸とN-アセチル-D-ガラクトサミンからなる二糖を反復単位とする多糖体をSO3で多硫酸化したものです。

硫酸基、カルボキシル基、水酸基など、多くの親水基を持ち、高い保湿力を発揮します。

また、ヘパリン類似物質には重篤な副作用がないことから、長年にわたって乾燥肌に関係する皮膚の病気の治療薬として、子供から高齢者まで幅広く医療現場で使用されています。

尿素ビタミンC誘導体ビタミンE誘導体(トコフェロール)などは医薬品としても化粧品としても使われますが、ヘパリン類似物質は化粧品には配合されません。


3.ヘパリン類似物質の3つの作用と効能・効果

ヘパリン類似物質が作用するイメージ

1)ヘパリン類似物質の3つの作用

ヘパリン類似物質は、表皮の奥の基底層まで達して、基底膜にはたらきかけ、保湿作用、抗炎症作用、血行促進作用を発揮します。

この作用によって、ヘパリン類似物質は低下したバリア機能の正常化をサポートします。

また、角質層水分を蓄える力を強めることが期待できます。

ワセリンなどの保湿剤は、肌からの水分蒸発を防ぐことによって保湿効果を発揮しますが、ヘパリン類似物質はそれとは違うはたらきで肌を健やかにします。

また、抗炎症作用によって肌荒れの改善が期待できます。

さらに、ヘパリン類似物質には、血行促進作用があることから、血栓性静脈炎や血行障害による痛み、しもやけ、腱鞘炎や筋肉痛などにも効果が期待できます。

他にも、外用ステロイドと一緒にアトピー性皮膚炎などにも使われることがあります。

2)ヘパリン類似物質の効能・効果

ヘパリンの効果を感じる女性

ヘパリン類似物質の代表的製品「ヒルドイド」の効能・効果は次のとおりです。

  • 血栓性静脈炎(痔核を含む)
  • 血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)
  • 凍瘡
  • 肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防
  • 進行性指掌角皮症
  • 皮脂欠乏症
  • 外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎
  • 筋性斜頸(乳児期)


4.ヘパリン類似物質の使い方

ヘパリン類似物質の使い方をレクチャーする女性

1)塗り方の基本

手を清潔にして容器から取り、手のひらを使って、 こすらずに優しく塗り広げます。

指先だけではなく、手のひら全体を使って丁寧に馴染ませていくと効果的です。

使う量が少なすぎると効果が小さいばかりか、摩擦で皮膚の炎症や乾燥が悪化する可能性があるので注意が必要です。

外用スプレーやフォームの場合は、容器を上向きにして縦によく振った後、ボタンを押し適量を手のひらに噴出してから塗ります。

年齢、部位ごとで適量が異なりますので、医師や薬剤師の指導にしたがって正しく使いましょう。

2)使用量の目安

使う量を考える女性

ローションでは、1円玉大で約0.5gです。

クリームなら、大人の人差し指の先から最初の関節(第一関節)の真ん中あたりまでとれば、約0.5gです。

個人差はありますが、これで大人の両手のひら分の量です。

3)ヘパリン類似物質の使い分け

現在、ヘパリン類似物質製剤は、クリーム、軟膏、ローション、フォーム、外用スプレーなど剤型がいくつかあります。

肌の状態、用途や使用感に応じて適切なものが選べるので、医師と相談の上、上手に使い分けましょう。

上手に使い分けることで、皮膚の病気の治療へのアドヒアランス(服薬遵守)が高まり、治療の向上につながることが期待できます。

①朝と夜の使い分け

昼夜のイメージ

朝のスキンケアの時間は忙しい方が多いので、短時間で塗ることができるローションタイプやフォームタイプ、スプレータイプを使うのが便利です。

一方、比較的余裕がある夜のスキンケアの時間は、軟膏タイプやクリームをしっかり使えば、より高い保湿効果が期待できます。

②季節による使い分け

の後半やをかく季節には、ローションタイプやフォームタイプ、スプレータイプがサッパリしているので使いやすい剤型です。

一方、冬の乾燥の季節なら、軟膏やクリームタイプがよい選択肢になります。

③部位による使い分け

ヘパリンを全身に使う女性

ヘパリン類似物質は顔だけでなく全身に使えます。

顔は、クリームタイプやローションが使いやすい剤型です。

頭皮は、フォームやスプレータイプが使いやすい剤型です

手肌や腕、ひざやひじかかとなどクリーム軟膏が適しています。

また、背中やデコルテは、スプレータイプが使いやすいでしょう。

4)使ってはいけない場合は?

妊婦さんが使うことへの安全性は確立していませんので、妊娠している場合は医師と相談しましょう。

また、皮膚の潰瘍やびらん面に塗ることは避けましょう。

眼には使用できません。

他にも血友病、血小板減少症、紫斑病の患者さんなど、わずかな出血でもリスクが高いと考えられる人には使えません。


5.ヘパリン類似物質の安全性と副作用

安全性のイメージ

ヘパリン類似物質は作用がおだやかで、比較的副作用の少ないお薬です。

それでも、全体で100人に1人程度の副作用が認められています。

発疹や皮膚炎、肌の赤み、かゆみ、皮膚のピリピリ感などが代表的な副作用です。

もし、副作用が出た場合は、すぐに使用を中止して医師に相談しましょう。


6.まとめ

ヘパリン類似物質は医薬品!美容目的で使うのはNGのまとめ

ヘパリン類似物質とは何か、作用や効能・効果、使い方、安全性や副作用について幅広くご紹介しました。

いかがでしたか?

美容やアンチエイジング目的で使われることで社会問題となったヘパリン類似物質ですが、正しく使えばとても有用性の高い医薬品です。

乾燥肌に関連する皮膚の病気で悩んでいる場合は、治療法のよい選択肢の1つです。

そんなヘパリン類似物質について正しく理解することで、乾燥肌など肌トラブルの改善に役立てていただければ幸いです。

著者・編集者・校正者情報

著者情報 株式会社ディープインパクト 富本充昭
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)

ナールスエイジングケアアカデミー編集長

京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。

医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。

文部科学省後援日本化粧品検定1級

一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト

著作(共著)

KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ

医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定

(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子

大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。

当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。

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