エイジングケア化粧品の「ノーベル賞受賞成分」はウソ?ホント?

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エイジングケア化粧品の広告などで、EGFやフラーレンを配合している場合「ノーベル賞受賞成分配合」などのコピーを見かけます。

はたして、エイジングケア化粧品の成分でノーベル賞を受賞って本当にあるのでしょうか?この記事では、ウソか、本当か、そのカラクリを解明します。

エイジングケア化粧品の「ノーベル賞受賞」の記事の目次

1.エイジングケア化粧品のノーベル賞受賞成分はウソ?ホント?

エイジングケア化粧品のノーベル賞受賞成分に疑問を抱く女性

ウェブサイトなどを見ていると、エイジングケア化粧品の原料で、

「ノーベル賞受賞成分 “●●”」といった記載を見かけることがあります。

はたして、これは本当でしょうか?

結論をいうと、「ウソ」です。

といいますか、意図的ではないと思うのですが、認識が誤っています。

または、化粧品成分が配合されたエイジングケア化粧品のインパクトを高めるため意図的に、「ノーベル賞受賞成分」というコピーを使っています。

そもそも、ノーベル賞は「人」(平和賞のみ「団体」の場合あり)に対して授与される賞です。

Wikipediaによるノーベル賞の説明

したがって、「エイジングケア化粧品成分」そのものがノーベル賞を受賞することはありません。

化粧品成分のイメージ

それなのに、「ノーベル賞受賞成分“●●”」と記載されているのは、なぜでしょうか?

こうした記載がある場合、ノーベル賞受賞者が、そのエイジングケア化粧品成分の発見、発明、研究にかかわっています。

それはエイジングケア化粧品や化粧品に関することではなく、成分そのものの発見です。

正しくは、「エイジングケア化粧品の成分“●●”は、もともと△△博士が研究に携わり、○○しました。

この研究によって、△△博士は、ノーベル賞を受賞しました。

その後、成分“●●”は化粧品成分としても使われるようになりました。」となります。

それを誤って、または意図的に「ノーベル賞受賞成分“●●”」のような記載になっているのです。

揚げ足を取るような話になってしまいましたが、化粧品原料で、「ノーベル賞受賞成分」自体は存在しません。

世の中には、様々な賞があって、「人」「組織」「成分」「商品」など対象もさまざまです。

「●●受賞」は、その賞がどんなものか? 受賞対象は? といったことも確認が必要ですね。

また、かなり有名な化粧品やスキンケアのウェブサイトで医師の監修がなされていても、「ノーベル賞受賞成分」と記載している場合もありますが、不思議ですね。

ところで、「ノーベル賞受賞成分」として表現される成分は2つです。

それは、フラーレンとEGFです。

この記事では、発見者や研究者がノーベル賞を受賞した化粧品成分であるフラーレンとEGFについて効果や安全性をご紹介します。

「ノーベル賞受賞成分ってどういうこと?」

「EGFってどんな成分か簡単に教えて!」

「フラーレンってどんな成分か簡単に教えて!」

という方は、続きをチェックしてくださいね。

<この記事の大切なポイント>
  • ノーベル賞は「人」または「団体」に授与される賞なので、化粧品成分が受賞することはあり得ません。正しい認識を持つことが大切です。
  • 「ノーベル賞受賞成分」という表現があれば、誤っているか意図的なコピーです。化粧品の販売促進や広告が目的です。
  • ノーベル賞受賞成分として表記されるエイジングケア化粧品成分は、フラーレンとEGFです。ともに発見した科学者たちがそれらの研究でノーベル賞を受賞しています。
  • ノーベル賞ほかどんな賞を受賞していたにせよ、その成分の特性や化粧品に配合された場合のはたらきを理解することが大切です。効果や安全性をしっかり理解しましょう。
  • エイジングケアで大切なことは保湿、清潔、紫外線対策の3つです。1つのエイジングケア化粧品成分にこだわり過ぎないようにしてエイジングケアを行いましょう。この3つの基本を、ノーベル賞よりも大切にしましょう。

2.EGFとノーベル賞

ノーベル賞を受賞した博士をイメージするイラスト

1)EGFとノーベル賞の関係は?

アメリカの生化学者スタンリー・コーエン (Stanley Cohen)博士とイタリアの神経学者リータ・レーヴィ=モンタルチーニ(Rita Levi-Montalcini)博士が、1986年に神経成長因子および上皮細胞成長因子(EGF)の発見の功績でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

これによってEGFの知名度が上がりました。

2)EGFの特徴と効果

①EGFとは?

EGFとは、「Epidermal Growth Factor」の略号で、日本語では、「上皮細胞増殖(成長)因子」のことです。

EGFは、人の上皮にある53個のアミノ酸と3つの分子内結合で形成されるペプチドで、人の唾液や母乳などに含まれる成分です。

つまり、EGFはもともと人が持っている成分です。

EGFは、上皮細胞にある上皮成長因子受容体(EGFR)と結びついて新しい細胞をつくったり、増やすなどの作用から、皮膚の再生医療の分野で注目されていました。

(*上皮とは、皮膚なら表皮で、消化管ならの粘膜の一番内側の層のことです。)

②化粧品成分としてのEGFの効果

EGFが化粧品成分として世に出たのは2005年で、全成分表示では、「ヒトオリゴペプチド-1」と記載されます。

EGFは、高価なエイジングケア化粧品成分の1つです。

EGFの効果としては、細胞の活性化によって、次の肌老化肌悩みの予防や改善が期待されています。

などの肌老化肌悩みへの効果が期待されています。

刺激性も少なく使いやすいエイジングケア化粧品成分ですが、敏感肌の方では肌荒れすることもあるようです。

また、化粧品なので顔のたるみの改善や深いしわ、ほうれい線を改善することは難しいと考えられます。

日本EGF協会というNPO法人が設立され、EGF配合化粧品の正しい知識の普及と有益な情報の提供を行っています。

3)EGFとFGF

ノーベル賞とは関係ありませんが、FGFは、Fibroblast Growth Factorの略で、日本語では「線維芽細胞増殖因子」と呼びます。

FGFはEGFと同様にたんぱく質です。

しかし、そのはたらきは異なります。

FGFは、線維芽細胞にはたらきかけ、真皮のコラーゲンやエラスチンなどの生成を促進します。

その結果、顔のたるみが原因のほうれい線やしわを改善します。

エイジングケア化粧品成分としては、ヒトオリゴペプチド-13やヒトオリゴペプチド-5があります。

また、アセチルデカペプチド-3は、FGFに近いはたらきをする成分です。


3.フラーレンとノーベル賞

フラーレン化粧品のイメージ

1)フラーレンとノーベル賞の関係は?

イギリスの化学者ハロルド・ウォルター・クロトー(Harold Walter Kroto)博士、アメリカの物理学者、天文学者で、かつ化学者のリチャード・エレット・スモーリー(Richard Errett Smalley)博士、アメリカの化学者ロバート・カール(Robert Floyd Curl, Jr.)博士の3人が、フラーレンの発見により、1996年のノーベル化学賞を受賞しました。

最初に発見されたフラーレンは、炭素原子60個で構成されるサッカーボール状の構造を持つC60フラーレンですが、実は、1970年に日本の化学者である大澤 映二博士が、フラーレン分子の存在を予想していました。

2)フラーレンの特徴と効果

①フラーレンとは?

炭素だけから構成される物質で、非常に小さいサッカーボールのような形をしています。

C60フラーレンとは、炭素原子60個がサッカーボール型に集まってでき上がったものです。

フラーレンはもともと自然界に存在する分子で、いまでは化粧品以外でも医薬品や電子材料などへの応用の研究が進められています。

②化粧品成分としてのフラーレンの効果

化粧品成分としてのフラーレンは、脂溶性フラーレン(リポフラーレン)と水溶性フラーレン(ラジカルスポンジ)の2種類があります。リポフラーレンは、フラーレンを植物性スクワランに溶解させた成分です。

フラーレンの特徴は、高い抗酸化力にあり、ビタミンCの172倍といわれています。

また、その抗酸化作用は金(ゴールド)のように永続的ではありませんが、長時間(11時間程度)持続します。

つまり、化粧品成分のビタミンC誘導体ビタミンE誘導体と比べて、抗酸化力の点では勝っているのです。

フラーレンの効果としては、お肌の酸化を防ぐことによって、次の肌老化や肌悩みの予防や改善が期待できます。

刺激性などもなく、肌質を選ばず比較的安心して使えるエイジングケア化粧品成分です。

ただし、その安定性の高さから体内に蓄積するリスクがある可能性が指摘されています。

また、化粧品のため、たるみの改善や深いしわ、ほうれい線を改善することは難しいと考えられます。


4.エイジングケアは1つの成分だけにこだわらない!

エイジングケアの大切さを説明する女性

1)特定のエイジングケア化粧品成分に過度にこだわる必要はない

ノーベル賞受賞者が発見したEGFとフラーレンについてご紹介しました。

これらは、優れたエイジングケア化粧品成分ですが、あくまで化粧品の成分の1つです。

研究に携わった科学者の功績は大いに評価、賞賛されても、化粧品成分そのものに医薬品レベルの効果があるわけではありませんし、それを期待してもいけません。

(EGFについては、医薬品としての扱いにすべきという厚生労働省からの通知もありましたが、今も化粧品成分として使用可能です)

だから、その成分に過度にこだわる必要もないですし、EGFやフラーレンだけでできているエイジングケア化粧品もありません。

どちらもエイジングケア化粧品の成分の1つと考えましょう。

2)エイジングケアにとって大切なこと

ナールスエイジングケアアカデミーのなかでいつもお話していますが、エイジングケアやスキンケアで大切なことは、次の3つです。

清潔は洗顔料クレンジング料などを使い、紫外線対策は日焼け止めクリーム日焼け止めグッズ、UVカットのファッションなどがサポートします。

いま、ご紹介したEGFやフラーレンは、このうち「保湿」を担うエイジングケア化粧水エイジングケア美容液エイジングケア保湿クリームなどに配合されます。

どんなエイジングケア化粧品を使っても、この3つの基本をしっかり行うことが、エイジレス美肌をキープするために大切であることを意識しましょう。


5.エイジングケア化粧品の「ノーベル賞受賞成分」のまとめ

ノーベル賞受賞成分の記事のまとめ

化粧品においては、「ノーベル賞受賞成分」が存在しないことをご理解いただけましたでしょうか?

このコピーの対象となるエイジングケア化粧品成分である「EGF」や「フラーレン」は、研究に携わった科学者がノーベル賞を受賞しました。

そのことから、成分そのものもノーベル賞を受賞したような印象がありますが、これは誤りです。

「EGF」や「フラーレン」は優れた化粧品成分の1つであっても、エイジングケア化粧品などに配合された場合、医薬品のような効果があるわけではありません。

過度に1つの成分にこだわらず、スキンケア、エイジングケアの基本である保湿、清潔、紫外線対策をしっかり行うことが美肌への近道です。

ノーベル賞を受賞することは大いに意義があり素晴らしいことですが、化粧品が直接そうなることはないこと覚えておきましょう。

著者・編集者・校正者情報

著者情報 株式会社ディープインパクト 富本充昭
(執筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)

ナールスエイジングケアアカデミー編集長

京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。

医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。

文部科学省後援日本化粧品検定1級

一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト

著作(共著)

KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ

医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定

(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 若森収子

大学卒業後、アパレルの販促を経験した後、マーケティングデベロッパーに入社。
ナールスブランドのエイジングケア化粧品には、開発段階から携わり、最も古い愛用者の一人。

当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。

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