高濃度ビタミンC点滴療法とは?カラダや肌への効果と危険性を検証

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高濃度ビタミンC点滴は、最近では人気の美容医療のメニュー。

加齢によるからだや肌の老化を予防したい方におすすめです。

この記事では、高濃度ビタミンC点滴の効果やメリット、危険性やデメリットを詳しくご紹介します。

<この記事の大切なポイント>
  • 高濃度ビタミンC点滴とは、高濃度のビタミンCを短時間に全身に行き渡らせ、細胞の活性化による若返り効果を促進し、からだの健康や美肌をもたらします。美容クリニックなどでは自費診療で受けることが可能です。
  • 高濃度ビタミンC点滴療法の肌への効果は、エイジングケアや肌悩みの改善です。具体的には、シミ・ソバカス、ニキビやニキビ跡、毛穴の悩み、シワやほうれい線の予防や改善などです。
  • 高濃度ビタミンC点滴療法のからだやアンチエイジングの効果は、生活習慣病の予防・改善、ストレスの緩和、アレルギー疾患の予防、疲れやだるさの改善、風邪の予防、ダイエットなどです。
  • また、高濃度ビタミンC点滴は、アメリカではがんの代替医療としても適応されます。さまざまながんに対して、いくつかの研究報告があります。
  • 高濃度ビタミンC点滴は、基本的には、重篤なものはなく安全な治療法ですが、いくつかの副作用があります。血管痛、喉の渇き、筋肉のけいれん、しびれ、低血糖、めまい、冷や汗、疲労感、眠気などがあります。

本記事は、看護師の執筆です。

ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。

この記事の監修者
医学博士、大阪府女医会理事、旭区医師会理事、日本医師会認定スポーツ医、大阪市難病指定医、化粧療法士、産業医
<メディア登場歴>
◆健康手帖 TV 大阪
◆毎日新聞 寄稿 手は口ほどに物を言う
◆毎日新聞 寄稿 マスク皮膚炎
◆毎日新聞 寄稿 多汗症
◆NHKラジオ 手荒れのお話し

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1.高濃度ビタミンC点滴療法が気になるあなたへ

高濃度ビタミンC点滴療法を考える女性

「高濃度ビタミンC点滴療法とは?カラダや肌への効果と危険性を検証!」をお届けします。

ビタミンCといえば、美肌や疲労回復、風邪予防などに効果があるとされていて、意識的に食事やサプリメントから摂るようにしている方も多いのではないでしょうか。

そんなビタミンCですが、クリニックなどで「高濃度ビタミンC点滴、初回3万円!」などと広告しているのを見たことはありませんか?

これは、高濃度ビタミンC療法と呼ばれる治療法のことです。

点滴により高濃度のビタミンCが短時間に全身に行き渡ることで、細胞の活性化による若返り効果を促進。

からだの中から若々しく、美しくなる最先端のアンチエイジング治療です。

ビタミンCを多く含む食品はたくさんありますし、サプリメントも多種多様にある中、なぜ高額な費用と病院に通う手間、時間をかけて高濃度ビタミンC点滴を受ける人がいるのか、疑問に思いませんか?

この記事では、基本的なビタミンCの役割と効果に加えて、高濃度ビタミンC点滴についても詳しく解説していきます。

ビタミンCをなんとなく摂っている方、美容点滴に興味のある方は、ぜひ一読してみてください。

2.ビタミンCの基本

1)ビタミンCとは?

ビタミンCが豊富なレモン

ビタミンCは、別名「L-アスコルビン酸」と呼ばれる水溶性のビタミンです。

からだの細胞を保護するとともに、抗酸化作用によって活性酸素からからだを守るはたらきがあります。

お肌のハリや弾力を保つ、コラーゲンの生成を促すなど、健康や美容、美肌にとても大切な成分です。

また、ビタミンCは皮脂のコントロールやメラニン生成抑制の作用を持つため、シミの改善などや美白効果も期待できます。

多くの哺乳動物では、体内でブドウ糖からビタミンCを合成することができます。

しかし、モルモットやヒトは、合成に必要な酵素がありません。

そのため、必要量を体外から食べ物や飲料で摂取する必要があります。

2)必要なビタミンCの量

食べ物から摂取するビタミンCの厚生労働省によると推奨量は、男女ともに1日100㎎とされています。

また、妊婦さんは+10mg、授乳中の方は+45mg、喫煙者は+35mg摂ることを推奨されています。

これは、ストレスが多い人や栄養を多く必要とする場合、タバコを吸う人ほど、多く摂る必要があるからです。

特に、喫煙はからだの酸化の原因になるので、それを抑えるにはビタミンCなどの抗酸化成分が欠かせないからです。

ビタミンCの摂取に上限は設定されていません。

これはたくさん摂取しても腸管で吸収されずに尿中へ排泄される量が増えるだけなので、体内にビタミンCがすべて取り込まれるわけではないからです。

だからといって、やみくもにたくさん摂ればよいのかというとそうでもありません。

ビタミンCは適量を継続的に取り続けることが必要です。

3)ビタミンCは医療でも使われる

ビタミンCは医療でも使われることを説明する女性

ビタミンCは、医師の処方箋が必要な医療用医薬品としても、薬局で買えるOTC医薬品としても医療に使われます。

①医療用医薬品

<効能・効果>

1.ビタミンC欠乏症の予防および治療(壊血病、メルレル・バロー病)

2.ビタミンCの需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給(消耗性疾患、妊産婦、授乳婦、はげしい肉体労働時など)

3.次の疾患のうち、ビタミンCの欠乏または代謝障害が関与すると推定される場合

  • 毛細管出血(鼻出血、歯肉出血、血尿など)
  • 薬物中毒
  • 副腎皮質機能障害
  • 骨折時の骨基質形成・骨癒合促進
  • 肝斑雀卵斑炎症後の色素沈着
  • 光線過敏性皮膚炎

なお3.の効能に対して効果がないのに月余にわたって漫然と使用すべきでない。

<用法・用量>

アスコルビン酸として、成人1日50~2000mgを1~数回に分けて経口投与(適宜増減)

②OTC医薬品

<効能・効果>

〇次の諸症状の緩和:しみ、そばかす、日やけ・かぶれによる色素沈着

〇次の場合の出血予防:歯ぐきからの出血、鼻出血

ただし、これらの症状について、1カ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師、薬剤師又は歯科医師に相談すること。

〇次の場合のビタミンCの補給:肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期

<用法・用量>

1日3回を限度として製剤ごとに定められる。





3.高濃度ビタミンC点滴療法とは?

1)なぜ、高濃度ビタミンC点滴療法が必要?

高濃度ビタミンC点滴療法のイメージ

ビタミンCは水溶性なので、口から摂取したビタミンCはからだの中に行き渡る前にほとんどが尿として体外に排出されてしまいます。

だから、体内に蓄えておける量が限られています。

そんなビタミンCの効果を上げるためには、一気に血中のビタミンC濃度を高めて、全身に行き渡らせる必要があります。

内服ではそれが難しいですが、注射や点滴の場合、血管内に直接ビタミンCを投与するため、口からの摂取時よりも20〜40倍の血中濃度を保持したままからだの隅々にまでビタミンCを行き渡らせることができます。

つまり、ビタミンCの持つ効果を最大限に得ようとすれば、口からの摂取よりも点滴のほうが圧倒的に優れているのです。

このメリットを得ることができるのが、高濃度ビタミンC点滴療法です。

この点滴では、一度に25g~50g(25000㎎~50000㎎)の高濃度のビタミンCを体内に入れることができるのです。

2)高濃度ビタミンC点滴は、どんな人におすすめ?

現代人は、喫煙、大気汚染、紫外線ダメージ、仕事のストレスなどに囲まれています。

また、加齢とともにからだや肌の老化も進みます。

高濃度ビタミンC点滴療法は、そんな現代人にとってメリットのある治療法の1つです。

高濃度ビタミンC点滴は次のような場合におすすめです。

①体調の改善、病気の予防として

  • タバコを嗜む方
  • お酒をよく飲む方
  • 外での仕事、スポーツをされる方
  • ストレスを感じている方
  • アレルギーで困っている方
  • 疲れやすい方
  • なんとなくだるい方
  • 寝つき、寝起きが悪い方
  • 風邪を引きやすい方
  • がんが心配な方

②アンチエイジング、美肌を目的として

  • 老化を遅らせたい方
  • 美白を目指している方
  • シミを改善、予防したい方
  • お肌のハリ、弾力を維持したい方
  • ニキビや吹き出物がよく出る方
  • 日焼け後の方
  • 乾燥肌の方
  • 髪の毛のツヤ、コシがなくなってきた方


4.高濃度ビタミンC点滴の効果

1)美容・美肌効果

高濃度ビタミンC点滴の効果を実感する女性

①シミの予防、改善

メラニン色素を生成させるチロシナーゼのはたらきを抑え、シミを予防します。

また、肌のターンオーバーを正常化する作用もあり、できてしまったシミを薄くする効果も期待できます。

肝斑・老人性色素斑ADM・そばかす(雀卵斑)のどのシミにも効果があるといわれています。

②ニキビ、ニキビ跡の改善

皮脂の過剰な分泌を抑える効果でニキビを予防し、炎症を抑えることでニキビを治します。

また、ターンオーバーを促し、ニキビ跡の改善も期待できます。

③毛穴の開きを改善

ターンオーバーの正常化により、毛穴をつまりにくくし、毛穴を引き締めます。

<参考記事>

ビタミンC不足は毛穴を目立たせ、老化スピードも速めてしまう!

④しわ、たるみ予防、ハリを回復

セラミド、コラーゲンを生成して保水力をアップさせることで、お肌のうるおいを保ち、しわたるみを予防し、ハリを回復させます。

<参考記事>

コラーゲンを増やすにはビタミンCのチカラが必要!

⑤光老化予防によるアンチエイジング

紫外線ダメージによって肌は光老化が進みます。

高濃度ビタミンC点滴は、からだの老化の原因となる活性酸素を除去し、老化を予防します。

2)健康増進や病気の予防効果

体調が悪い女性

①生活習慣病の予防、改善

コラーゲン生成を増加させて血管を丈夫にし、血中脂質の酸化を抑え、動脈硬化を予防することで心臓、脳の血管障害(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞など)を予防します。

<参考記事>

毛細血管のゴースト化でコラーゲンも老化!美肌を取り戻す方法

②ダイエット

カルニチンの代謝が促されることで、脂肪が燃焼、エネルギーが生成され、メタボリックシンドロームの予防やダイエットにつながります。

③風邪の予防

リンパ球のはたらきを活性化し、インターフェロンを増やすことで、風邪やウイルスなどによる感染症を予防できます。

また、活性酸素の除去やマクロファージ機能が活性化されることで免疫力がアップします。

<参考記事>

風邪に抗生物質(抗菌薬)はNG!腸内細菌を乱して肌荒れのリスクも

④ストレスの緩和

副腎のホルモンの分泌を正常化し、ストレスによる不調を緩和します。

⑤疲れやすさ、だるさの改善

活性酸素を除去し、血流が良くなることで肩こり、腰痛、だるさなどを改善します。

また、役目を終えた細胞を早めに排出させるデトックス効果により、疲れにくくなります。

⑥アレルギーの予防、改善

ステロイドホルモンの生成、ヒスタミンの遊離を抑制することでアレルギー症状を抑えます。

⑦二日酔い対策

アルコールが代謝されてできるアセトアルデヒドを早く分解する効果があり、二日酔いの予防、改善につながります。

<参考記事>

お酒の飲み方と成分を知って美肌に!エイジングケアの視点

お酒の飲み過ぎは、腸内環境にも美肌にも大ダメージ!

上記のような効果は、点滴によって大量のビタミンCを投与することで得られるといわれています。





5.高濃度ビタミンC点滴によるがんの予防・治療

高濃度ビタミンC点滴ががんの代替医療に使われるイメージ

1)がんの代替医療としての高濃度ビタミンC点滴療法

アメリカでは高濃度ビタミンC点滴ががんの代替治療に使われています。

それは、高濃度ビタミンC点滴は、がん細胞にだけ選択的に毒性としてはたらくことや、抗がん活性を有するインターフェロンを生み出してくれる効果があると考えられているからです。

また、胃がんなどの原因となるニトロソアミンの生成を抑制します。

ビタミンC血中濃度400mg/dl以上で効果が出るとの研究報告があり、50g以上の高濃度ビタミンC点滴が必要となります。

なお、高濃度ビタミンC点滴療法は健康保険は適用されません。

事前検査と高濃度ビタミンC点滴療法に関わるすべての費用が自己負担となります。

がんに対する高濃度ビタミンC点滴療法が適している方としては、次のような場合です。

  • 標準的がん治療が無効もしくは効果が低い場合
  • 標準的がん治療と併用することで効果をより確実にしたい場合
  • 標準的がん治療の副作用を少なくしたい場合
  • 良好な体調を維持しながら寛解期を延長したい
  • 代替治療を望む場合

ただし、あくまで代替医療なので、有効な抗がん剤や放射線治療がある場合は、そちらもあわせて行うのが一般的です。

2)高濃度ビタミンC点滴によるがんの予防・治療のエビデンス

論文のイメージ

①20世紀のエビデンス

高濃度ビタミンC点滴のがんに対する研究には歴史があり、一番古い臨床研究ではノーベル賞を受賞したLinus Pauling博士の論文で1976年と、1978年に発表されています。

この2つの論文では、進行がんの患者100人にビタミンC10gを10日間点滴、以後毎日10gのビタミンCを経口投与し、ビタミンC治療を受けていない1000人のがん患者と比較した結果を報告しています。

1976年の研究結果では、ビタミンC治療を受けた患者の生存期間が4.2倍延長し、1978年の研究結果では6倍に延長したという結果が出ています。

②21世紀のエビデンス

また、21世紀に入った2005年にアメリカの国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI), 食品薬品局(FDA)の学者らがアメリカ科学アカデミー紀要に発表した論文では、高濃度のビタミンCが培養がん細胞を殺すことから、高濃度ビタミンC点滴療法ががん治療に有用である可能性があると発表しています。

また、2008年に同じ米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが発表した論文では、マウスにがんを移植しビタミンCを大量投与したところ、がんの成長が抑制されたと発表しています。

血液のがんと言われる白血病に対する高濃度ビタミンC点滴に関する研究でも、白血病の進行抑制と発症予防に効果があるとの報告があります。

③さまざまながんのビタミンC高濃度点滴療法のエビデンス

ほかにも、卵巣がん、乳がん、膵臓がん、腎臓がん、膀胱がん、悪性リンパ腫など、さまざまながんに対して高濃度ビタミンC点滴が有用であること、安全性についても問題なしとする研究結果が出ています。

下記に代表的な論文を紹介します。

2014年カンザス大学の卵巣がんに対する高濃度ビタミンC点滴の論文では、Stage IIIcの卵巣がん2例で初期の化学療法と長期高濃度ビタミンC点滴療法の併用が有効であったとの報告をされています。

High-dose parenteral ascorbate enhanced chemosensitivity of ovarian cancer and reduced toxicity of chemotherapy. Sci Transl Med. 2014 Feb 5;6(222):222ra18.

2011年ドイツの乳がんに対する高濃度ビタミンC点滴の多施設研究論文で、乳がん患者125例に化学療法に併用し、ビタミンC点滴療法を行うグループと行わないグループで、生活の質(QOL)について比較検討をしたところ、ビタミンC点滴療法は疾患自身の症状、化学療法や放射線療法に伴う症状の有意な改善を認めたとの報告があります。高濃度ビタミンC点滴は乳がんの補助療法として有用であるとされています。

Intravenous vitamin C administration improves quality of life in breast cancer patients during chemo-/radiotherapy and aftercare: results of a retrospective, multicentre, epidemiological cohort study in Germany. In Vivo. 2011 Nov-Dec;25(6):983-90.

2013年アイオワ大学の膵臓がんに対する高濃度ビタミンC点滴の論文では、ステージ4の膵臓がん患者9例に週2回の15g~125gのビタミンC点滴療法を行った結果、平均生存期間は13ヶ月であり、従来の5.65ヶ月を大幅に延長しました。1例は腫瘍サイズが9分の1に縮小、1例は15ヶ月、1例は29ヶ月生存しました。また、軽い下痢と口渇以外に問題となる副作用はなかったとの報告をしています。

Pharmacological Ascorbate with Gemcitabine for the Control of Metastatic and Node-Positive Pancreatic Cancer (PACMAN): Results from a Phase I Clinical Trial. Cancer Chemother Pharmacol. 2013 March ; 71(3): 765–775.

2014年東海大学血液腫瘍内科の悪性リンパ腫に対する高濃度ビタミンC点滴の論文では、B細胞性非ホジキン型悪性リンパ腫患者3例に対して75gの高濃度ビタミンC点滴療法を行ったところ、問題となる副作用はなかったと報告しています。

Phase I Clinical Trial of Intravenous L-ascorbic Acid Following Salvage Chemotherapy for Relapsed B-cell non-Hodgkin’s Lymphoma. Tokai J Exp Clin Med. 2014:20;39(3):111-5.

2006年米国国立衛生研究所(NIH), 国立ガンセンター(NCI)、マギル大学の研究者らの研究では、腎臓癌、膀胱癌、悪性リンパ腫の3症例において高濃度ビタミンC療法が有効であったとカナダ医師会雑誌に発表しています。

Intravenously administered vitamin C as cancer therapy: three cases. CMAJ. 2006:28; 174(7): 937-942


6.高濃度ビタミンC点滴の方法・頻度

高濃度ビタミンCの液体イメージ

使用する高濃度ビタミンC点滴でよく使用されるのは、アイルランドで製造されたMylan社製のアスコルビン酸、高濃度ビタミンC製剤です。

Mylan社製の高濃度ビタミンC製剤は、防腐剤不使用で温度管理(2~8℃の冷蔵保管)が必要となります。

国産の一般的なビタミンC製剤は品質維持のため防腐剤が添加されていますので、高濃度ビタミンC点滴に使用するのに適していません。

Mylan社の高濃度ビタミンC点滴製剤は、アメリカやカナダの大学・研究所における、ほとんどの臨床試験や研究に使われており、安全性の高い製剤です。

高濃度ビタミンC点滴を受ける際に、ほかのクリニックより安価な場合、Mylan社製の高濃度ビタミンC製剤を使用しているかを問い合わせると安心だと思います。

Mylan社製の高濃度ビタミンC製剤

点滴は、生理食塩水にビタミンC製剤25g~50gを溶解したものを腕の血管から点滴します。

細い血管は血管痛をともなうことがあるので、なるべく腕の太い血管で行います。

点滴時間は30分から1時間くらいです。

血管痛があれば点滴速度をゆっくりにするので、点滴にかかる時間はまちまちです。

初回は問診や診察、G6PD検査があるのでもう少し時間に余裕を持っておくほうが良いでしょう。

G6PD検査については後述します。

高濃度ビタミンC点滴の頻度は、2週間に1度くらいの頻度がおすすめです。

1回でも効果は実感できますが、美容目的や健康増進を目的としている場合には、定期的に点滴を受けて血中のビタミンC濃度を上げているほうが、より効果を感じることができます。

高濃度ビタミンC点滴は、美容外科や美容皮膚科、自費診療を行っているクリニックなどで受けることができます。

費用は全額自己負担であるため、1回につき1万円〜3万円が相場となります。

自費診療のため、ビタミンの種類や量、治療を受ける病院によって費用は大きく異なります。

また初回は、初診料のほかに、G6PD検査などの費用もかかります。





7.高濃度ビタミンC点滴を受けられない方と副作用

1)高濃度ビタミンC点滴を受けられない方

高濃度ビタミンC点滴を受けられない人の特徴

G6PD欠損症という遺伝性の病気がある人は、高濃度ビタミンC点滴を受けることができません。

G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)は赤血球の機能を保つための酵素で、このG6PDが欠損している人が、日本人では0.1~0.5%の確率で存在します。

G6PD欠損症の方が高濃度ビタミンC点滴を受けた場合、溶血といって赤血球の膜が破れてしまい、急性溶血性貧血発作を起こす危険があります。

アメリカで15gの高濃度ビタミンC点滴により溶血発作を生じたG6PD欠損症の男性症例の報告があったため、15g 以上の高濃度ビタミンC点滴を行う場合、G6PD欠損症ではないかの検査が必要となります。

G6PD検査とは、指先を細い針でついて血液を少量採取し、G6PD検査キットを用いて検査します。

15分ほどで結果が出ます。

高濃度ビタミンC点滴を受ける際には、必ず初回にG6PD検査を行いますので、初回の高濃度ビタミンC点滴の費用については、2回目以降よりも5000円程高く設定されています。

2)高濃度ビタミンC点滴の副作用

副作用としては下記が挙げられます。

①血管痛

血管の細い方は血管痛を生じることがあります。

点滴はなるべく太い血管を選んでいただき、血管痛が出た場合、点滴の滴下スピードをゆっくりにしてもらったり、場所を変えてもらうようにしてください。

②喉の渇き、筋肉のけいれん、しびれ

ビタミンCを吸収するのに水分が必要になることと、利尿作用でからだの水分が抜けやすくなるため喉の渇きが出ることがあります。

また、利尿作用でカルシウムを排出させるはたらきがあるため、筋肉のけいれん、しびれなどの症状がまれに出る場合もあります。

点滴後は水分補給をしてください。

③低血糖 めまい、冷や汗、疲労感

ビタミンCはブドウ糖と構造がよく似ているため、ビタミンC点滴によってブドウ糖が入ったと勘違いをして、血糖を下げるインスリンを分泌し低血糖になることがあります。

低血糖になりやすい人は事前に食事を取ったり、点滴中に飴やジュースなどで糖分を補給してください。

④眠気

眠気に襲われる女性のイメージ

ビタミンCの抗ヒスタミン作用で眠気に誘われることがあります。

点滴は時間がかかりますので、ゆっくり寝ていただき、帰宅時に車の運転をされる方は気を付けて運転するようにしてください。

高濃度ビタミンC点滴は重篤な副作用はなく、基本的には安心して受けていただける治療です。

高濃度ビタミンC点滴の安全性についてカナダのMcGill大学の論文があります。

この論文では高濃度ビタミンC点滴療法は1.5g/kg (体重60kgの人で90gのビタミンC投与)で安全性に問題はないと発表されています。

Phase I clinical trial of i.v. ascorbic acid in advanced malignancy. Annals of Oncology 2008 19(11):1969-1974

高濃度ビタミンC点滴について詳しくご説明しました。

昔からたくさんの研究がされていて、効果については科学的根拠があると考えられています。

よりビタミンCの効果を得ようとするならば、高濃度ビタミンC点滴を受けている方は補助的にサプリメントを使って普段から体内のビタミンC濃度を高く保つほうがより効果が出やすくなります。

また、高濃度ビタミンC点滴を受けていない方は、ビタミンCを多く含む食べ物や、サプリメントを日ごろから取り入れ、ビタミンCを補給することをおすすめします。


8.ビタミンCと食べ物・サプリメント・化粧品

1)ビタミンCを多く含む食べ物

ビタミンCが多く含まれるパプリカ

ビタミンCを多く含む食品として、レモンを思い浮かべる方が多いのではないかと思います。

レモン1個の果肉部分に含まれるビタミンCの量は約18㎎です。

しかし、レモンは食べるというより果汁を絞ってかける程度なので、レモンからビタミンCの摂取をするのはなかなか難しいことです。

レモン一個分のビタミンC含有量18㎎よりも、ビタミンCを多く含む食品を挙げてみます。

すべて食べられる部分のみで比較しています。

果物では、アセロラ102㎎、グレープフルーツ101㎎、ネーブル78㎎、夏みかん73㎎、柿160㎎、黄キウイ119㎎、緑キウイ59㎎、グァバ154㎎、パパイア130㎎。

アセロラはジュースなどで売られており、ビタミンCが豊富に含まれているといわれていますが、上の数字を見ると、ほかの果物とそんなに変わらないように見えますよね。

これはアセロラ1粒のビタミンC含有量です。

アセロラはとても小さい果実で1粒は1.3㎝ほどで重さは約8gで、食べられる部分は約6gとなります。

そのため、アセロラ100gだと約1700㎎ものビタミンCを含んでいることになり、ほかの果物とは比べ物にならないビタミンC含有量となります。

ビタミンCは火を通すと壊れてしまいやすいので、野菜では火を通した状態で比較してみます。

赤パプリカ(油炒め)243㎎、黄パプリカ(油炒め)216㎎、ゴーヤ(油炒め)145㎎、ブロッコリー(ゆで)89㎎、カリフラワー(ゆで)131㎎、さつまいも(蒸し)48㎎

となっています。

茹でる場合は、煮汁にビタミンCが溶け出してしまいますので、スープにして、煮汁ごと飲むのが良いでしょう。

パプリカは火を通さなくてもサラダやピクルスにして食べられますし、彩りも良いのでおすすめ食材です。

ほかには、牛レバー1切れ12㎎、お茶の玉露カップ1杯38㎎、たらこ1腹20㎎が挙げられます。

ビタミンCを多く含む食べ物に意外なものもありましたね。

補足として、タバコを1本吸うごとに25㎎~50㎎のビタミンCが破壊されることをご存知でしょうか。

レモン1個のビタミンCは18㎎なので大量です。

これは、タバコに含まれるタールやニコチンが血液に乗って肝臓に運ばれ分解されるのにビタミンCが大量に使用されるためです。

せっかく摂取したビタミンCが無駄にならないよう喫煙者の方はなるべくタバコの本数を減らし、ビタミンCを意識的に摂取するよう心掛けましょう。

<参考記事>

美肌をもたらす食べ物と飲み物は?その種類から栄養素まで

美肌のための食事のとり方とアンチエイジングへの効果は?

緑茶の美肌・美容効果とアンチエイジングへのメリットは?

2)ビタミンCサプリメント

ビタミンCのサプリメント

ここで効果が高いと考えられているビタミンCサプリメントをご紹介します。

PRO VITA C(プロビタC)

発売元:株式会社アスコルバイオ研究所

内容量:120g(2g×60包) 約1カ月分

1日分2包あたりビタミンC500㎎を含有(L-アスコルビン酸2-グルコシドとして1000mg含有)

定価:6480円(税込)

PRO VITA C(プロビタC)

岡山大学で発明された安定、持続型ビタミンCです。

ビタミンCは、熱、酸素、光などに対し弱いという欠点があります。

従来型ビタミンC製剤のもつ欠点を解消したのが、世界で初めて開発された安定・持続型 ビタミンC(Ascorbic Acid 2-Glucoside 略号:AA-2G)なのです。

安定持続型ビタミンC「AA-2G」とは、ビタミンCにブドウ糖が結合したビタミンC 誘導体のことで、これまでのビタミンCより壊れにくく、持続性が高くなっています。

従来のビタミンCと異なり、熱、光、水、酸素などに対し極めて強いビタミンC誘導体で、服用すると 体内でビタミンCとしての作用を持続的に発揮できるという優れた性質を持っています。

このAA-2Gを配合して完成した保健機能食品が高品質ビタミンCサプリメント「ProVitaC(プロビタC)」 なのです。

通常のビタミンCは体の中で一時的に濃度が高まり、すぐに体の外に出されてしまいます。

AA-2Gはからだの中でゆっくり分解されるので、通常のビタミンCよりも3~4倍長い時間、体内でビタミンCを高濃度で維持することができます。

安定型ビタミンCなので防腐化剤、着色料は使用されていません。

また、天然の甘味料・香料で飲みやすくなっており、水なしでも服用できます。

3)化粧品に配合されるビタミンC誘導体

ビタミンC誘導体が配合される化粧品のイメージ

ビタミンCは不安定なので化粧品成分としては、安定性を高めた誘導体として配合されるケースがほとんどです。

ビタミンC誘導体には、水溶性、脂溶性のほか、今では両親媒性のものもあります。

水溶性ビタミンC誘導体には、アスコルビン酸NaやVCエチルなどがあります。

脂溶性ビタミンC誘導体には、VCIP(テトラヘキシルデカン酸アスコルビル)などがあります。

両親媒性ビタミンC誘導体には、APPS(アプレシエ)セラミドプロモーターなどがあります。

そんなビタミンC誘導体化粧品は、イオン導入にも使われます。

<参考記事>

ビタミンC誘導体化粧水の選び方はエイジングケアの視点で

ビタミンC誘導体美容液のランキングに頼らない選び方

乾燥肌対策の保湿にビタミンC誘導体化粧水は使っていいの?悪いの?

ほうれい線の改善にビタミンC誘導体化粧水は効果があるの?ないの?


9.まとめ

まとめ

ビタミンCは、健康、美容、アンチエイジングのために欠かせません。

そんな中、高濃度ビタミンC点滴療法は、より高い効果が期待できる治療法です。

この記事では、そんな高濃度ビタミンC点滴の効果、方法、副作用についても幅広くご紹介しました。

読者の皆様にも理解を深めていただけたのではないでしょうか。

ビタミンCの効果を最大に受けたいのであれば、高濃度ビタミンC点滴が最適です。

しかし、高濃度ビタミンC点滴を受けている方もそうでない方も、食事でビタミンCを日頃から摂取し、補助的にサプリメントを活用すればより効果的です。

また、肌へはビタミンC誘導体化粧品を塗ることでエイジングケアに役立ちます。

ナールスエイジングケアアカデミーでは、今後も皆様が元気で美しく年齢を重ねられるよう、健康と美容に関する情報提供に努めてまいります。

この記事「高濃度ビタミンC点滴療法とは?カラダや肌への効果と危険性を検証!」が、エイジングケア世代の皆様のお役に立てば幸いです。

著者・編集者・校正者情報

(執筆:看護師Sさん)
30代、内科・眼科の勤務経験を持つ看護師(看護師歴は16年)。中学生の頃からニキビに悩み、20代はニキビ跡、くすみなどに悩んだことから、美白ケアをはじめ美容に興味を持つ。

30代のエイジングケア世代になってからは、肌老化による肌悩み、たとえばしわやたるみが気になるためアンチエイジングについても知識を得て実践中。

著者情報 株式会社ディープインパクト 富本充昭
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
ナールスエイジングケアアカデミー編集長

京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。

文部科学省後援日本化粧品検定1級

化粧品検定1級

一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト

著作(共著)

KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ
医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定

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