風邪に抗生物質(抗菌薬)はNG!腸内細菌を乱して肌荒れのリスクも

風邪で抗生物質(抗菌薬)を飲む女性

風邪に抗生物質(抗菌薬)を使っても治らないばかりか、肌荒れになるリスクがあります。

なぜなら、風邪はウイルスが原因なので、抗生物質(抗菌薬)は効果がありません。

また、腸内細菌叢を乱すので、腸が不調になってその影響がでることもあるのです。

この記事では、風邪に抗生物質(抗菌薬)を投与してはいけない理由や、抗生物質(抗菌薬)の肌への悪影響の可能性などをご紹介します。

風邪に抗生物質(抗菌薬)はNG!腸内細菌を乱して肌荒れのリスクもの目次

1.冬の時期で風邪が気になる方へ

風邪をひいた女性

風邪は誰もがかかる病気の1つです。

なかでも乾燥する冬の季節には、気温の低下や湿度の低下の影響で、ウイルスにある水分が蒸発して比重が軽くなるので、空気中に浮遊しやすくなり、風邪をひくリスクが高くなります。

風邪で病院やクリニックを受診したとき、治療として抗生物質(抗菌薬、これ以降は「抗生物質」と記載します)というお薬が処方されることがあります。

しかし、抗生物質はふつうの風邪には効果はありません。

なぜなら、抗生物質が効果を発揮できるのは「細菌」に対してだけで、風邪の原因である「ウイルス」ではないからです。

だから、風邪のお薬として抗生物質を処方通りに飲んでいても、治らないばかりか薬剤耐性(AMR; Antimicrobial Resistance)が増えて、万一、細菌に感染して治療が必要になったときに抗生物質が効かなくなってしまうリスクが高くなります。

また、副作用のリスクもあります。

この記事では、風邪や抗生物質、細菌、ウイルスについてご紹介します。また、なぜ風邪の時に抗生物質を飲むと肌荒れのリスクがあるのかについて、呼吸器感染症の専門医の監修のもとご紹介します。

一見、スキンケアやエイジングケアとは関係ないと思ってしまう「風邪」と「抗生物質」も、実はお肌と関係があることが学べます。

※「抗生物質」と「抗菌薬」ってどう違うか?

抗生物質と抗菌薬、同じ意味と思っていた人もいるかもしれません。

この記事では、「抗生物質(抗菌薬)」と記載していますが、厳密にいうと、抗生物質と抗菌薬は違うのものです。

「抗菌薬」は、細菌が増えるのを抑えたり殺したりするお薬のことを指します。

この抗菌薬のなかでも細菌や真菌といった“微生物”からつくった化学物質のことを「抗生物質」と呼びます。

つまり、抗菌薬の方が広い概念なんですが、一般の人にしたら、抗生物質という言い方のほうがなじみがありますよね。

詳しくは、「3.抗生物質と抗ウイルス薬」で解説していますので、あわせてお読みください。

<本記事を監修いただいた先生>

中浜医院 院長 中浜 力 先生

中浜医院 院長 中浜 力 先生

一般内科や小児科を診療されていて、特に呼吸器疾患(胸の病気、咳、息切れ、喘息など)や感染症(発熱、風邪、気管支炎、肺炎、各種化膿症など)をご専門とされています。

論文執筆や学会活動など学術的に幅広く活動されているだけでなく、地域医療にも非常に力を入れられていて、ご自分のクリニックを中心に100m範囲に住んでおられるご家族3世代の健康全てに責任を持つ覚悟で、お父様からクリニックを継がれました。

小児疾患認定内科医、感染症指導医、院内感染専門医(ICD)

日本呼吸器学会の「成人市中肺炎診療ガイドライン」に、プライマリケア医の立場から制作に参画

■病院情報

大阪市旭区中宮2-15-3

TEL:06-6951-0759

大阪メトロ 谷町線「千林大宮駅」から徒歩10分です。

<この記事の大切なポイント>
  • 風邪、細菌、ウイルス、抗菌薬、抗生物質、抗ウイルス薬などの知識を身に着けることは、からだの健康だけでなくお肌の健康にも大切です。
  • 風邪の原因は細菌ではなくウイルスです。だから、細菌に効く抗生物質は効果がありません。
  • 風邪に効く抗ウイルス薬はありません。だから、治療は症状を抑える内服薬が中心です。
  • 風邪をひいたら、栄養、水分、睡眠をしっかりとることが大切です。また、もとから病気がない場合や高齢でない場合は、数日で軽快します。
  • 風邪は予防が大切です。外出後は手洗いやうがいなどをして、しっかり予防を心がけましょう。
  • 風邪に抗菌薬を使うことは意味がありません。副作用のリスクがある、薬剤耐性を引き起こす、医療費の無駄など問題が大きいのです。
  • 抗菌薬は腸内細菌叢を乱すリスクがあります。そのため肌荒れなどの肌悩みの原因となってしまうことがあります。

2.感染症と細菌とウイルス

ウイルスのイメージ

1)感染症とは?

感染症とは、病気を起こす小さな生物、つまり病原体がからだに侵入して、症状が出る病気のことです。

その病原体は、大きさや構造によって細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などに分かれます。

「細菌による感染症」の代表的なものは、細菌性肺炎や細菌性腸炎です。

また、「ウイルスによる感染症」の代表と言えば、風邪やインフルエンザです。

他にもさまざまな感染症がありますが、ここでは細菌とウイルスの違いを簡単に説明します。

2)細菌とウイルス

細菌もウイルスも感染症の病原体ですが、実はまったく異なる生物です。

しかし、混同して理解されているケースがあります。

まず、細菌とウイルスの最も大きな違いは、「細菌は自分の力で増殖することができるけど、ウイルスはできない」という点です。

細菌は、栄養・水分・湿度という3つの条件がそろえば増殖が可能になりますが、ウイルスは、人や動物の細胞の中でないと増殖できないのです。

ですから、例えば、スポンジを使ったあと濡れたままおいておくと、その中で細菌は自力で増えていきますが、ウイルスにはそれができません。

もう1つの違いは、その大きさで、細菌はウイルスの数十倍〜数百倍くらいサイズが大きいです。

<ウイルスの一例:インフルエンザウイルスのモデル図>

インフルエンザウイルスのモデル図

<細菌の一例:ブドウ球菌のモデル図>

ブドウ球菌のモデル図


3.抗生物質と抗ウイルス薬

薬のイメージ

1)抗生物質と抗菌薬

一般の方にとっては、抗菌薬という呼び方より抗生物質と言う方がわかりやすいと思います。しかし、抗生物質は抗菌薬の1種です。

それについて説明します。

「抗菌薬」とは細菌を壊したり、増えるのを抑えたりするお薬のことをいいます。

この抗菌薬のうち、微生物によってつくられた化学物質を「抗生物質」または「抗生剤」と呼びます。

ペニシリンって聞いたことがあると思いますが、ペニシリンは青カビ(微生物)からつくられますので、抗生物質になります。

つまり、抗生物質は抗菌薬の1種なのです。

一方、微生物を用いないで化学合成でつくられるものは、抗生物質ではなく「抗菌薬」です。

抗菌薬には、細菌が増えることを防ぐ作用の違いによって、マクロライド、キノロン、カルバペネムといったカテゴリーで分かれています。

どの抗菌薬も、細菌の構造や増えていく仕組みのどこかを抑えることで抗菌力を発揮します。また、抗菌薬によって、どの細菌に強い効果を発揮するかは異なります。

しかし、どんな抗菌薬であっても、「ウイルスには効果がありません」。

2)抗ウイルス薬とは?

抗ウイルス薬には、単純ヘルペスや帯状疱疹の治療薬、インフルエンザの治療薬、HIVの治療薬があります。

抗ウイルス薬の1種である抗インフルエンザウイルス薬には、インフルエンザウイルスが人のからだの中で増えるのを抑える作用があります。

しかし、ウイルスに効くお薬の種類は限られていて、風邪のウイルスに効くお薬もないのが現状です。


4.風邪の原因・症状・治療は?

風邪の原因・症状・治療について考える医師

1)風邪とその症状

ふだん「風邪」とよんでいる病気ですが、これって医学的には何だと思いますか?

風邪は、「かぜ症候群」とも呼ばれる上気道のウイルス感染症のことを指します。

上気道とは喉と鼻、肺の手前にある気管支といった空気の通り道の部分です。

ウイルスが感染する部位で、風邪の症状が異なります。

例えば、鼻にウイルスが感染すると鼻水や鼻づまりが典型的な症状です。

喉に感染すれば咳やのどの痛み、声枯れなどの症状が現われます。

上気道全体が感染すれば、これらの症状が同時にあらわれたり、その他に発熱やくしゃみなどの症状も現れてきます。

2)風邪の原因

風邪は、飛沫感染や接触感染によって、ウイルスが体内に侵入してきて増殖することで発症します。

飛沫感染とは、咳やくしゃみで飛び散ったしぶき(飛沫)を吸い込むことで感染することで、接触感染とは、感染者(感染源)に直接接触して感染することを言います。

風邪の原因となるウイルスには、ライノウイルスをはじめ、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどいくつかの種類があります。

このなかで、もっとも感染する頻度が高いのはライノウイルスで、風邪の原因の約50%を占めています。春と秋に流行する傾向があります。

その次に多いのがコロナウイルスで、風邪の原因の10~15%程度で、冬に流行する傾向があります。

風邪の原因を考える女性

3)風邪の治療

風邪の原因となるウイルスに効果を発揮する抗ウイルス薬はありません。

だから、根本的な治療はできません。

そのため、風邪の治療は、咳や発熱などの症状を抑える対症療法となります。

発熱に対しては解熱鎮痛剤が、咳には鎮咳剤が、痰には去痰剤などが症状に応じて処方されます。

こうした治療薬を内服しつつ、脱水状態にならないように水分を補給しながら、食べ物で十分に栄養を摂ったり、十分な睡眠を取って休養することが大切です。

水分補給をおこたると、乾燥肌の原因にもなってしまいます。

特に発熱がある場合は、水分が失われるのでしっかり補給しましょう。

幸いにも多くの場合、風邪は、基本的には安静にしていることで自然回復する病気なので、数日程経つと軽快していきます。

しかし、肺気腫や喘息などの病気がある方や、免疫が低下している方が風邪をひくと、重症化したり、細菌感染症を引き起こすことがあります。

だから、手洗いやうがいを徹底して、風邪の予防をしっかり行うことが大切です。

手洗いやうがいはインフルエンザの予防にもなりますので、ぜひ、習慣化してほしい予防策です。


5.なぜ、風邪に抗生物質がよくないのか?

抗生物質のイメージ

1)効果がなく副作用があって医療費の無駄

ここまでしっかりこの記事をお読みいただいた方は、ご理解いただけたと思いますが、そもそも風邪に対して抗菌薬は効果がありません。

ですが、抗菌薬には副作用があります。

効果がないのに、副作用がある、そのうえ医療費も増えるということでは、意味がありませんね。

2)薬剤耐性菌が増える

風邪に抗菌薬を使うことの最も大きな問題は、薬剤耐性(AMR=Antimicrobial resistance)が増えることです。

風邪などで抗菌薬が処方されると、実は効果がないのに、治ろうと思って飲みますよね。

そうすると、死ななくてもいい細菌も一緒に死んでしまいます。

細菌にとっては抗菌薬は自分を殺す毒に等しいわけで、なんとか抗菌薬から逃れよう(耐性を得よう)としています。

私たちが不適切に抗菌薬を繰り返し使い続けていると、あるとき突然に細菌自体が変化して、抗菌薬が効かなくなるタイプの菌が出現します。

これを薬剤耐性菌と呼びます。

薬剤耐性菌が世界的に増加する一方で、製薬企業による新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあります。

世界の問題イメージ

このことは、国際社会でも大きな課題となっています。

なぜなら、耐性菌で抗菌薬が効かないことで、現在、世界中で70万人もの方が死亡しています。

このまま放置すれば、2050年にはその数が1,000万人に上ると推測されています。

こうしたことから、厚生労働省も薬剤耐性(AMR)への対策を本格的に行っています。

また、次のような一般の方への啓発活動も行っています。

かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~

風邪に対して安易に抗菌薬を使用することが、こうした大きな問題の原因であることを、ぜひご理解いただきたいです。これは、社会のためにも大切なことです。


6.抗菌薬が肌荒れの原因に

抗菌薬で肌荒れを起こしている女性

少し大きなお話になりまたが、最後にみなさまが興味のある「お肌と抗菌薬の関係」について考えてみます。

結論をいえば、風邪に抗菌薬を使うことは、美肌から遠ざかる原因になります。

細菌にはさまざまな種類がありますが、ヒトの腸内に棲んでいる腸内細菌は、なんと5百種類あって、全部で百兆個ほどが棲んでいます。

この腸内細菌はとても大切で、病原菌の感染を防ぐ効果やアレルギーを防ぐ効果があります。

この細菌の集まりは「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」または「腸内フローラ」と呼ばれますが、バランスが整うことで、健康や美肌に役立っていることから注目を集めています。

しかし、抗菌薬には腸内細菌に対して効果を発揮するものがあるので、風邪に抗菌薬を投与すれば、この腸内細菌のバランスを崩してしまうことがあるのです。

腸内細菌叢の乱れが原因となって、便秘や下痢を引き起こすことがあります。

その結果、肌荒れ乾燥肌などの肌悩みの原因になることもあるのです。

さらに最近では、子どもへの抗菌薬の投与は腸内細菌に対する影響が大きく、喘息やアレルギーになりやすくなるという研究報告もあります。

このように、繰り返しになりますが、風邪に抗菌薬を使うことは社会的にもよくありませんし、からだやお肌の健康面からもよくないのです。


7.まとめ

風邪に抗生物質(抗菌薬)はNG!腸内細菌を乱して肌荒れのリスクものまとめ

風邪や抗生物質、細菌、ウイルス、薬剤耐性などについてご紹介しました。

また、なぜ風邪に抗生物質を投与すると肌荒れのリスクもあるのかについてもご紹介しました。

いかがだったでしょうか?

風邪のときに抗生物質を飲んでも治らないばかりか、社会問題の原因になったり、肌荒れになるリスクがあります。

風邪はウイルスが原因なので抗生物質は効果がありません。

また、腸内細菌叢を乱するので、腸が不調になってその影響がでることもあるのです。

エイジングケアやアンチエイジングには、こうした風邪に対する知識も必要なことがおわかりいただけたのではないでしょうか。

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