飛蚊症とは?症状・原因と改善のための治療法をご紹介

本ページはPRを含みます。


年齢を重ねてくると「目の前を何かがふわふわと飛んでいる」ように見えることってありませんか?

これは飛蚊症といって、眼の中の濁りや浮遊物が見える症状です。

今回は、この飛蚊症について解説します。

この記事を読むことで得られることは?
  • 飛蚊症とは、どのような症状が起こるのかがわかります。
  • 飛蚊症の原因となる硝子体の老化について理解できます。
  • 飛蚊症の予防や治療法についての情報が入手できます。

本記事は、眼科の現役看護師の執筆です。

ナールスエイジングケアアカデミーには月間数十万ページのアクセスがあります。

 

この記事の監修医師

<経歴>
⼤阪市⼤医学部卒業
⼤阪市⼤眼科医局 ⼊局
ドイツリューベック⼤学付属医⽤光学研究所 留学
兵庫医⼤眼科医局 ⼊局

<所属学会・研究会・役職>
日本眼科学会 眼科専門医
日本網膜硝子体学会
日本眼循環学会
日本近視学会
医学博士(大阪市立大学)
兵庫医科大学眼科学教室非常勤講師
兵庫医科大学眼科学教室同窓会理事
眼科臨床紀要 編集委員
LIME研究会

<得意分野>
網脈絡膜疾患全般(加齢⻩斑変性、糖尿病網膜症など)
近視(学童近視、病的近視)
緑内障

この記事の目次を紹介する女性のイラスト

1.「もしかしてこの症状は飛蚊症?」と不安なあなたへ

飛蚊症の症状があり不安な女性

「飛蚊症とは?症状・原因と改善のための治療法をご紹介」をお届けします。

明るい場所に行った時や白い壁を見た時、「何か飛んで見える」といった症状はありませんか?

モノを見ている時、糸くずや蚊のような黒い虫が動いて見え、視線を変えてもその浮遊物は一緒に移動してくるのが特徴です。

目をこすっても消えることがないので、鬱陶しいと感じることが多くなります。

この症状を「飛蚊症」といいます。

飛蚊症は、眼の中の濁りや浮遊物の影が網膜に映って、視野の中でそれが見えている状態です。

エイジングケア世代の方では、結構この飛蚊症に悩まされている方もいると思います。

60代では10人に1人が飛蚊症の症状を感じているといわれていますが、決して年齢が高い方だけの病気ではなく、早い人では20代からこの症状が出てくる人もいます。

今回の記事は眼科医監修の下、飛蚊症の原因から対策までをご紹介します。


2.飛蚊症の原因の多くは「硝子体の老化」

飛蚊症の原因はほとんどの場合、「硝子体の老化」です。

眼の構造

眼の中は、硝子体というゲル状の組織で満たされています。子供の頃は透明でゼリーのように弾力がありますが、加齢とともにサラサラした液体とベトベトしたゲル成分に分離します。

その過程で、硝子体に含まれるコラーゲンが凝集して浮遊物や濁りとなり、これが瞳孔から入った光の通り道にあると、網膜に影を落とし、実際には目の前にはないのに小さな点々として見えるのです。

これが飛蚊症の原因です。

また、硝子体は網膜と接していますが、この硝子体の変性にともない、硝子体のゲル成分と網膜が離れます。

これを後部硝子体剥離といいます。

その際に硝子体に濁りが生じたり、硝子体を包んでいる膜にシワができたり、視神経にひっついていた硝子体が剥がれてしまうと、ワイスリングと呼ばれる円形の浮遊物として見えたりします。

これらは、白髪やシワシミが増えるのと同じく加齢性の変化であって、病気ではありません。

しかし、まれに網膜にひっついていた部分がうまく剥がれず、網膜が一緒に剥がれてしまう網膜剥離や、穴が開く網膜裂孔、血管がひっぱられて出血する硝子体出血を生じることもあります。

これらも飛蚊症を生じるので、注意が必要です。

病的な飛蚊症の可能性が高いのは次のような場合です。

  • 急に飛蚊症の症状が現れ、消えることなく増えている場合や、すでに飛蚊症の人で見える点の数が急激に増えた
  • 黒や赤のカーテンを引いたように見える
  • 視界の一部が欠けている

これらは網膜剥離や網膜裂孔、硝子体出血を起こしている可能性があり、早めに眼科を受診することをお勧めします。


3.蚊が飛んでいるように見えるものだけが飛蚊症ではない

蚊が飛んでいるように見えるものだけが飛蚊症ではないことを教える女性

飛蚊症といっても、濁りや浮遊物の生じ方によって見え方はさまざまです。

動くものが見えるという症状はすべて飛蚊症です。

濁りや浮遊物は、眼の中のゼリー状の組織である硝子体の中に浮かんでいるので、見えない場所に移動すると飛蚊症状がなくなることもあります。

この場合は、残念ながら浮遊物が移動しただけなので、消えたのではなく、見えなくなっただけです。

ですので、また浮遊物が見える場所に移動してくれば、飛蚊症が出現します。


4.飛蚊症の検査は?

飛蚊症の検査機器

1)症状が軽ければ治療は不要?

飛蚊症があれば、症状が軽くても眼科を受診しましょう。一度診察して問題ないことを確認し、それから症状の変化がない場合に限り大丈夫です。

しかし、自己判断で症状がずっと変わらないからといって受診しないでいると、網膜に孔が開いて、遅れて網膜剥離になることがあります。

そのため、気になる症状がある場合は、早く眼科を受診しましょう。

2)飛蚊症の検査は?

では、その違いを見分けるために、眼科ではどのような検査をするのでしょうか?

飛蚊症では眼底検査を行います。

瞳孔を広げる目薬(散瞳薬)をさして、瞳孔から眼球の奥の網膜の状態を深く調べます。

眼底検査の結果、飛蚊症が生理的なものと判定されれば、大きな心配は不要です。

一方、検査で状況がひどい場合が見つかることも。

後部硝子体剥離による飛蚊症であれば治療の必要はありませんが、網膜の穴(網膜裂孔)、網膜剥離が認められたら、手術による治療が適応されます。


5.ひどい飛蚊症の治療法は?

飛蚊症の治療法のイメージ

「飛蚊症に関して、基本は無治療で経過観察になります。

どうしても治療を希望する場合は以下の治療も行われていますが、それぞれにリスクもあります。 内容をよく読んでご判断ください。」

飛蚊症の治療法としては、次の2択となります。

  • 硝子体手術
  • レーザー治療

の2択となります。

目薬や飲み薬で消すことはできません。

では、それぞれの治療法をご紹介します。

1)硝子体手術

硝子体手術は、手術室で心電図や血圧を測りながらベッドに寝て行います。

局所麻酔をして、眼に3箇所穴をあけます。

その3箇所の穴から器具を入れて、飛蚊症の濁りとともに硝子体自体を取り除きます。

穴は小さく自然に塞がるため、縫合はしません。

手術の所要時間は、個人差があり、施設によっても異なります。

手術後の日常生活での制限としては、それぞれの眼科施設で指導内容が異なりますが、通常、洗顔は1週間程度できません。また、運動は1週間程度しないよう指導されることが多いです。

 

また、手術前後の点眼や感染予防の内服薬などが必要となります。

健康保険が使えるため、手術費用は1割負担または3割負担で済みます。

費用に関しては、治療を受ける眼科で確認してください。

 

硝子体手術のリスクとしては、早く白内障になってしまいます。平均5年程度で白内障手術をすることになるとされています。

また、合併症として感染症の危険性や、まれではありますが、眼内炎、網膜剥離や駆逐性出血などが起こる可能性もあります。

手術後は、眼の異物感があったり、結膜下出血が多くの場合生じますので、落ち着くまでにはしばらく時間が必要です。

飛蚊症を消すか、リスクのある手術をするかを天秤にかけて、そこまでのリスクがあるなら我慢しようかと思い直す場合が多いのが現状です。

しかし、白内障を手術するタイミングであれば、白内障と同時に飛蚊症を取り除く硝子体手術も行うことができますので、白内障手術を考えている方や予定している方で、
飛蚊症に悩まされているのであれば、医師に相談してみるのもよいでしょう。

2)レーザー治療

レーザー治療のイメージ

少し前までは、飛蚊症に対するレーザー治療は海外でしか受けることができなかったため、日本では硝子体手術の1択しかありませんでした。

現在は、YAG(ヤグ)レーザーという医療や美容医療でよく用いられるレーザーによる飛蚊症レーザー治療「ビトレオライシス」が日本でも承認され、飛蚊症をレーザーで治すことができるようになりました。

 

ビトレオライシスは、診察室で座った姿勢で機械に顔を乗せて行います。

手術室で行うような全身管理は必要としません。

点眼麻酔をしてから、眼の上に特殊なレンズを載せて、飛蚊症の原因となっている浮遊物にレーザーの焦点を合わせて、レーザー光線で砕いて細かくします。

浮遊物が細かくなって散り散りになることと、一部は蒸散イオン化して消えるといった効果が期待できます。

ビトレオライシスの所要時間は20分ほどです。

治療前後の点眼や内服の必要もありません。

手術後は、細かい点々が飛んでいるように見えたり、充血や違和感を生じる場合もありますが、短時間で治まります。

ただし、費用は健康保険の適応外のため、完全自費診療となります。

施設によって価格設定は異なり、片眼15万円(半年以内の追加レーザー費用含む)という場合や、片眼5万円(追加レーザーは1回3万円)などさまざまです。

 

レーザー治療のリスクとしては、浮遊物の位置が水晶体に近ければ白内障になる可能性があり、網膜に近ければ網膜出血する可能性があります。

また、網膜にレーザーを照射してしまった場合、失明のリスクもあります。

そのため、浮遊物の位置によっては、ビトレオライシスによる治療は適応外ということもあります。

また、浮遊物が大きすぎると、レーザーで散らして大きい飛蚊症はなくなっても、細かい浮遊物が残ってしまいます。

逆に浮遊物が細かくたくさんある場合は、レーザーで焦点を合わせることができないことと、すべてに当てることができないため、あまり効果が期待できません。

そういった場合は、浮遊物や濁りを含む硝子体自体を取り除く硝子体手術が適応されます。

 

さらに、飛蚊症レーザー治療「ビトレオライシス」は、まだまだ実績の少ない治療です。

そのため、網膜の専門家はあまり行いません。また、長期成績も発表されていないので、現時点ではあまりおすめできる治療法ではありません。


6.飛蚊症を予防するための方法はあるの?

飛蚊症を予防する方法を考える女性

硝子体は光を通すため、紫外線対策などでは飛蚊症は予防できません。

また、抗酸化成分であるルテインなども飛蚊症の発生を抑えることはできません。

そのため、予防は難しいのが実際です。

ただし、飛蚊症は目に入る光の量を抑えると自覚しにくくなるので、サングラスを使用したり、屋外であれば日傘や帽子を使用することは症状軽減に役立ちます。

 

飛蚊症を予防する手段として、明確なエビデンスがあるものはありません。

それでも目の健康全体を含めて、良い生活習慣を身に着けることは大切です。

バランスの良い食生活や質の高い十分な睡眠を心がけましょう。

また、目の使いすぎなども避けるようにしましょう。


7.まとめ

記事のまとめ

エイジングケア世代が多く抱える悩みである「飛蚊症」について、症状や原因と最新の治療法を眼科医監修の下に解説しました。

今まではリスクを恐れて我慢を強いられていた飛蚊症でしたが、新しい治療法の普及によって、多くの方が飛蚊症のわずらわしさから開放されることが期待できます。

もし飛蚊症の症状が気になるなら、早めに眼科を受診することをおすすめします。

この記事「飛蚊症とは?症状・原因と改善のための治療法をご紹介」が、エイジングケア世代の皆様の目の健康にとってお役に立てば幸いです。

著者・編集者・校正者情報

著者情報 株式会社ディープインパクト 富本充昭
(加筆:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)

ナールスエイジングケアアカデミー編集長

京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。

医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。

文部科学省後援日本化粧品検定1級

一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト

著作(共著)

KOLドクターの的確な人選と良好な関係作りのコツ

医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定

(編集・校正:エイジングケアアカデミー編集部 やすだともよ

医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。

当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。

そんな中で、「これは!」という、みなさまの健康づくりのご参考になるような情報ご紹介したり、その時期に合ったスキンケアやエイジングケアのお役立ち情報をメールでコンパクトにお届けしています。

ぜひご登録をお待ちしております。

キレイと健康のお役立ち情報が届く、ナールスのメルマガ登録はこちらから

ナールスチャンネルをみて動画でエイジングケアを学ぼう!

関連記事

ブルーライトは目・体・肌に影響がある有害光線!防御の対策は?

続きを読む

極低侵襲緑内障手術は、これからの新たな緑内障治療の選択肢

続きを読む

アレルギー性結膜炎は日本で2000万人の患者!原因・症状と対策や治療法

続きを読む

加齢黄斑変性症とは?原因・症状と対策や治療法

続きを読む

子供の近視予防にバイオレットライトやクロセチンが有効!

続きを読む


nahlsエイジングケアアカデミーを訪れていただき、ありがとうございます。

nahlsエイジングケアアカデミーでは啓発的な内容が中心ですが、
ナールスコムでは、ナールスブランドの製品情報だけでなく、
お客様にご参加いただいた座談会や
スキンケア・エイジングケアのお役に立つコンテンツが満載です。

きっと、あなたにとって、必要な情報が見つかると思います。
下記から、どうぞ。

ナールスゲン配合エイジングケア化粧品なら「ナールスコム」

SNS Share

\ この記事をシェアする /

エイジングケアを本気で学ぶ情報サイト|ナールスエイジングケアアカデミー

エイジングケアを本気で学ぶ情報サイト|ナールスエイジングケアアカデミー