長年の紫外線ダメージによって老け顔を進めてしまう光老化ですが、この原因としてエラスチンのニトロ化が関係しているとの研究が発表されました。
エラスチンはお肌のハリを保つ重要な成分。
ニトロ化によってエラスチンがどのように変化するのでしょうか?ナリス化粧品からは発表されたこの研究結果の概要と、光老化の対策についてご紹介します。
読みたいところから読める目次
1.エラスチンのニトロ化が光老化の新しい原因!
「発見!ニトロ化が老け顔をまねく光老化の原因の1つだった!」をお届けします。
わたしたちのお肌は長年、紫外線にさらされており、そのダメージが蓄積しています。
エイジングケア世代のお肌の老化の約8割が「紫外線ダメージによる老化=光老化」によるものと言われており、年齢以上にお肌を老けて見せる原因です。
光老化の原因となる紫外線は、UVAとUVBの2つです。
特に大きく影響を与えるのはUVAで、波長が340~400nmの長波長のUVAは、ロングUVAとも呼ばれています。
このUVAとUVBに加えて、新たに光老化の原因に「ニトロ化」が関与していることがわかりました。
ニトロ化とは、タンパク質と活性窒素が結合することを指します。
ニトロ化の関与は、 (株)ナリス化粧品が行った研究で発見され、第31回国際化粧品技術者会連盟横浜大会(IFSCC Congress 2020)において発表されました。
今回のナールスエイジングケアアカデミー編集部ニュースでは、このナリス化粧品による研究発表の概要を紹介するとともに、光老化の対策についてご紹介します。
<ナリス化粧品のプレスリリースを基にした記事>
*角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!
2.ニトロ化に関する研究結果
ここからは、お肌の光老化に関与しているニトロ化についての研究概要をご紹介します。
1)光老化の改善法を探ってニトロ化を発見
お肌は強い紫外線を浴びると、ダメージが真皮にまで及ばないようにと、古い角質を溜め込んだり、新しい角質細胞を作って角質層を厚くしようと防御反応を示します。
さらに、長い間紫外線を浴び続けていると、メラニンの蓄積によるシミが目立って来たり、ダメージを受けた真皮内部ではコラーゲンやエラスチンが減り、顔のたるみやほうれい線、シワなどが目立ってきます。
真皮のダメージがひどい場合は、エラスチンが過剰に蓄積しており、これが光老化によるお肌のゴワツキの原因となると考えられています。
今回の研究は、この光老化の改善方法を探る目的で実施されました。
研究では、光老化の影響を受けたお肌(頬)と、影響を受けていないお肌(お尻)について比較しています。
その結果、頬のエラスチンが過剰に蓄積した部位には、ニトロ化したエラスチンが多く存在していたとのこと。
一方で、真皮の約70%を占めるコラーゲンはニトロ化が生じておらず、エラスチンのみにニトロ化が生じることがわかったとのことです。
さらに、真皮の線維芽細胞が紫外線ダメージを受け続けることで、「ニトロ化が生じ」て、「エラスチンを過剰に産生」することもわかったとのことです。
これらの結果から、紫外線によるエラスチンのニトロ化が原因で、光老化したお肌内部ではエラスチンの過剰な蓄積が生じてしまうと考えられることがわかりました。
<図 高齢者における光老化の影響を受けた頬と、影響を受けていないお尻における染色体像>
(ナリス化粧品プレスリリースより)
2)ニトロ化したエラスチンはどんな状態?
エラスチンはコラーゲンと同じく、タンパク質です。
真皮内に約2%しか存在しませんが、ゴムのような弾力性があり、コラーゲンをしっかりと支えて、お肌のハリを維持するうえで重要な役割を担っています。
しかし、ニトロ化したエラスチンを調べてみると、硬くなって弾力が低下していることが確認できたとのことです。
つまり、紫外線を浴び続けた結果、お肌の弾力が低下してたるみを引き起こし、ごわつきを生んでいる原因が「エラスチンのニトロ化」であることが明らかとなりました。
<図 ニトロ化したエラスチンの硬さと弾力性>
(ナリス化粧品プレスリリースより)
<ナールスエイジングケアアカデミー編集部コメント>
お肌のゴワツキや弾力低下に関わっていることがわかった「ニトロ化」ですが、実は、他のお肌悩みにも関与していることが、ナリス化粧品が2016年に発表した研究からわかっています。
加齢に加えて、紫外線を長い間浴び続けるとニトロ化タンパク質が増加し、それがお肌のくすみ、とくに黄ぐすみに大きく関わっているとのことです。
黄ぐすみの原因として、糖化やカルボニル化が関わっていることはよく知られていますが、ニトロ化はくすみにも大きく影響を与えていたんですね。
また、肌の成分を減少させる変化としては、ほかにもカルバミル化などがあります。新しい研究で今まで不明だったことがわかることでスキンケアやエイジングケアが進化することはありがたいですね。
*老化による肌の「黄ぐすみ」にニトロ化が関与!ナリス化粧品プレスリリース(2016年12月12日)*デルモカインが減るとセラミドも減る!増やす方法は?*注目の新発見!コラーゲンの「カルバミル化」は顔たるみの原因
*新発見!テネイシンCの減少が光老化のサインだった
3.ニトロ化を予防して、エラスチンの変性を防ごう
光老化は実年齢以上に老けた印象を相手に与えてしまいます。
今回の研究報告からも、真皮内での「ニトロ化」を予防するために、エイジングケア化粧品によるエイジングケア・スキンケアはもちろんのこと、日常生活で出来ることをしっかりとして、なるべくお肌の老化を遅らせたいですよね。
1)紫外線対策
紫外線をブロックすることは、エイジングケアの基本で、エラスチンを変性させないためにも必要です。
外出するとき、室内にいても日が当たる場所にいるときには、以下の対策をしっかりとして防ぐようにしましょう。
- 日焼け止めを使う。短時間の外出ならSPF5以上、PA+以上、長時間の場合なら、SPF10以上、PA++以上のものという風に、SPF、PAを上手く使い分ける。
- 日傘や衣類などファッションで紫外線をカットする。
- 目や目元の紫外線対策にUVカットサングラスを使う。
2)紫外線を浴びた後のケア
紫外線を浴びた日は、アフターケアとしてビタミンACEを食べ物やサプリメントから摂りましょう。
また、エイジングケア化粧品では、ビタミンA誘導体(レチノールやレチノイン酸トコフェリル)、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体のエイジングケア成分の入ったアイテムでお手入れしましょう。
ビタミンC誘導体には、水溶性ビタミンC誘導体、油溶性ビタミンC誘導体や、水と油の両方に溶ける性質をもつ両親媒性ビタミンC誘導体(APPS)があり、オススメです。
また、最近ではセラミドを増やすビタミンC誘導体として、3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸も登場しました。
ビタミンE誘導体には、油溶性のトコフェロール、両親媒性ビタミンE誘導体のトコフェリルリン酸ナトリウムがあります。
<参考記事>
*紫外線対策の食べ物と飲料!日焼けや肌老化を防ぐ7つの栄養素とは?
*紫外線対策こそエイジングケア!日焼けダメージの肌老化を防ぐ対策
<動画で見る紫外線対策>
【紫外線対策】肌老化の80%は紫外線が原因!知っておくべき最低限のこと
3)抗糖化や抗酸化を意識する
減ったエラスチンを増やすことは、年齢を重ねると難しくなります。
エラスチンが減る原因に糖化が関係しています。だから、糖化を防ぐ以下のポイントを意識した生活習慣を癖づけてみましょう。
- 食べ物・栄養素と食べ方の工夫で糖化を防ぐ
- ウォーキングなど簡単な運動を行う
- ストレスをため込まない
- 質の高い良質な睡眠を十分に取る
- 紫外線対策をしっかり行う
糖化については、「糖化はからだや肌の老化の原因!健康と美肌のための対策の基本」や「肌老化の原因「糖化」を予防する対策は5つのポイントで!」を参考にしてください。
また、もう一つのお肌老化の原因である「酸化」の対策もあわせてするよう心掛けたいですね。抗酸化の対策については、「お肌の酸化は老化の大敵!防ぐための対策とエイジングケア」をご覧ください。
<参考記事>
*アンチエイジング的生活習慣は肌老化予防にエイジングケアより大切
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4.編集後記
「発見!ニトロ化が老け顔をまねく光老化の原因の1つだった!」をお届けしました。
真皮内で起こるニトロ化が、お肌の弾力を担っているエラスチンだけに起こるために、ハリが失われたり、お肌のゴワツキを生じさせていたんですね。
ニトロ化は黄ぐすみにも関係していますし、今後の研究によっては他のお肌の老化にも関与している可能性もあるかもしれません。
だからこそ光老化を防ぐ紫外線対策がとても大切です。今回は、そのための具体的な方法もご紹介しました。
この「発見!ニトロ化が老け顔をまねく光老化の原因の1つだった!」がナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様にとって、お役に立てれば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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