エイジングケア世代女性の肌悩みの代表である顔のたるみやシワは真皮の衰えや、皮下脂肪や顔の筋力の変化が原因で起こると考えられてきました。
しかし、顔のたるみやシワの形状に角層細胞が関係していることが、ナリス化粧品の研究発表により明らかとなりました。
今回は、この研究の概要とたるみによるシワの予防法についてご紹介します。
読みたいところから読める目次
1.顔のたるみとシワに「角層細胞の形」が関係している?!
「角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!」をお届けします。
たるみができる原因としてはお肌の弾力、表情筋の筋力の低下、真皮の衰え、その奥にある皮下脂肪の衰えや肥大化、からだの姿勢による影響、シワができる原因としては真皮の衰えや表情のクセなどによって起こると考えられていました。
しかし、 (株)ナリス化粧品は、IFSCC Congress 2018において、たるみの原因は、重力による皮膚表層の面積拡大によることを発表しました。
そして、2020年に開催された第31回国際化粧品技術者会連盟横浜大会(IFSCC Congress 2020) で、角層細胞の形状がたるみとシワの形を決めるということを発表しました。
今回のナールスエイジングケアアカデミー編集部ニュースでは、このナリス化粧品の研究発表の概要を紹介するとともに、たるみによるシワの予防をご紹介します。
2.老化した角層と容貌についての研究概要
ここからは、老化した角層が容貌に及ぼす影響に関する研究についてご紹介します。
お肌の老化現象によって起こる、顔のたるみやたるみによって引き起こされるシワ。本研究は、これらが、頬や目元といった顔のパーツによって角層がどのように変化しているのかということに着目して行われました。
1)顔のパーツ別の角層サイズ
研究では、顔の表面積、皮膚表面の微細構造、角層サイズを観察して、皮膚の運動の特徴を解析しています。
その結果、次のことがわかったのです。
- 加齢により皮膚の表面積は頬部で増大している
- 角層サイズの分布がわかる「角層マップ」で確認すると、加齢に伴い全体的な角層サイズの拡大と角層サイズのむらが発生している。
- これは表面積の拡大部位とほぼ一致
<図 年代別の角層サイズの分布>
(ナリス化粧品プレスリリースより)
ですが、角層のサイズの変化は頬と目元で違っていました。頬では皮膚の表面積が拡大していて、一方目元は、角層のサイズが他の部位と違って小さくなっており、年齢に伴う目元のシワの形成が顕著にみられました。
つまり、年齢に伴い、皮膚は表面積を広げたいところは角層を拡大させて、縮めたいところは角層を縮小して折り込むことでシワとなって、お肌内部のたるみをカバーしていることがわかったとのことです。
2)角層サイズの分布は、なぜ変化するのか?
次に、顔の部位49点の皮膚の動きを解析し、皮膚細胞の観察を行い、角層サイズの分布がなぜ変化するのかを検討した結果です。
動きに反応するセンサーによって、まばたきと発声を行うことで評価したところ、角層のサイズ・表面積が大きい頬で皮膚の伸縮が大きかったことが確認されました。培養した細胞に伸縮刺激を与えても、角層細胞が拡大することが確認できています。
<図 顔の動きと皮膚細胞のサイズの関連性>
黄色い丸が拡大、白い丸が縮んでいることを示しています。
(ナリス化粧品プレスリリースより)
<図 伸縮刺激を受けた培養細胞が拡大>
(ナリス化粧品プレスリリースより)
この結果から、顔のたるみやしわに関連する細胞のサイズには皮膚の動きが影響しており、たるみとシワには因果関係があり、角層次第で形作られるということがわかりました。
最後に、研究者らは同社が2016年に「笑うとシワができるのは本当だった」という趣旨の研究を発表したが、表情を乏しくすることでシワ予防を目指しているわけではないと付け加えています。
また、角層研究成果をもとに、角層をコントロールすることで、肌理(キメ)を美しく健康にするだけでなく、若々しい容貌を保つ化粧品の開発につなげたいとの考えを述べています。
<参考>
たるみ・シワを決定づけるのは角層細胞であると発見.ナリス化粧品プレスリリース(2020年10月21日)
<エイジングケアアカデミー編集部コメント>
顔のたるみやシワが、角層の細胞サイズと関係していること、そしてそれが皮膚の動きの影響だということは、とても興味深い研究報告です。表皮と真皮はその特徴が違っても、つながっているので肌老化や肌悩みにはそれぞれが影響を与えているようですね。
また、今回の研究からは、角質層のケアでしわやたるみを防げる可能性もあるのではないか、と期待できそうです。
3.たるみによるシワの予防のためにできる6つのこと
たるみによるシワの原因は、真皮層の細胞外マトリクスを形成するコラーゲンやエラスチンが減少や、表情筋の筋力低下、皮下脂肪の衰え・肥大化などに加えて、角層サイズの変化にあります。
だから、たるみによるシワを予防するには、たるみの原因を作らないことです。日常生活で出来ることやエイジングケア化粧品を使ってケアをする方法をご紹介します。
1)紫外線によるエラスチンやコラーゲンの変性を防ぐ
紫外線によるダメージが、お肌に悪い影響を与えることはご存じだと思います。
紫外線を浴び続けていると活性酸素が発生して、真皮の線維芽細胞を壊したり、コラーゲン、エラスチンを変性させるため、お肌のハリが失われていきます。いわゆる光老化が起こります。
特に紫外線A波(UVA)は1日中、1年中お肌の奥深くまで届いて、たるみやシワを引き起こす要因となりますから、常に注意しなくてはいけません。そのためには、紫外線対策をしっかりとしてください。
日焼け止めをこまめに塗って、外出時には衣服や帽子などぼファッションアイテム、日傘などフ使って紫外線対策を行いましょう。また、UVカットサングラスを使って目の紫外線対策もしましょう。
なお、光老化によるエラスチンの変性の原因についての研究も報告されており、これはまた別の機会にご紹介します。
2)紫外線を浴びた日はアフターケアをしっかりと
紫外線を浴びた後は、お肌から活性酸素を取り除くことが大切です。
だから、ビタミンACEを食べ物やサプリメントから摂ったり、ビタミンA誘導体、ビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体のエイジングケア成分の入ったエイジングケア化粧品でお手入れしましょう。
<参考記事>
*紫外線対策の食べ物と飲料!日焼けや肌老化を防ぐ7つの栄養素とは?
3)保湿をしっかりして、お肌内部に潤いを
お肌は年齢や季節、間違ったスキンケア・エイジングケアなどで、乾燥肌へと傾きます。
乾燥肌の対策をしないと、しわやたるみなど肌老化を進ませる原因になることも。
だからこそ、お肌をしっかり保湿することはとても大切です。
セラミド化粧品などの水分を保持するアイテムや、ナイアシンアミド、レチノイン酸トコフェリルなどのお肌のターンオーバーを安定化する効果のある成分が配合されているアイテムを使って保湿しましょう。
またその他にも、コラーゲンやエラスチンを増やすナールスゲンや、ネオダーミル、アプレシエやVCエチルなどのビタミンC誘導体、両親媒性ビタミンC誘導体の3-ラウリルグリセリルアスコルビン酸(セラミドプロモーター)などが配合されたアイテムもオススメです。
4)抗酸化、抗糖化を意識した生活習慣を
活性酸素は紫外線によって産生されることが有名ですが、それ以外にも、喫煙(副流煙含む)や、ストレスが多い生活、不規則な生活、過度な運動でも発生します。だから、これらを避けるような生活が遅れるよう工夫が必要です。
「お肌の酸化は老化の大敵!防ぐための対策とエイジングケア」で、抗酸化について詳しいことをご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
また、からだの中で余った糖分とたんぱく質が結びついて起こる「糖化」も、お肌の老化や生活習慣病などの病気に関係しているといわれています。
糖化とは、からだの中で焦げがつくられているような状態です。糖化によってAGEs(Advanced Glycation End Products=最終糖化生成物)という老化を進める物質がつくられます。
だから、真皮のコラーゲンやエラスチンが糖化すると、たるみやシワを引き起こす原因となります。
糖化については、「肌老化の原因「糖化」を予防する対策は5つのポイントで!」、「糖化が原因でお肌の老化が!エイジングケアの前に予防を」で詳しくご紹介していますので、ご参考にしてください。
5)顔のエクササイズやフェイスマッサージで予防を
たるみの原因の皮下脂肪の肥大化、表情筋の筋力低下の予防として、顔のエクササイズやフェイスマッサージをするのもよいでしょう。顔の血流を良くすることで、老廃物の排出をスムーズにしますし、たるみによるしわの予防が期待できます。
ですが、間違った方法で行うと、シワを深くしてしまうこともありますので、「ほうれい線解消は表情筋対策と顔の運動・エクササイズで!」の記事をご参考に、正しい方法で行ってくださいね。
6)バランスの良い食事と良質な睡眠も大切
お肌だけでなく、からだが健康でいるためには、栄養バランスの取れた食事と、良質な睡眠、適度な運動をすることが大切です。からだの内側が健康であれば、たるみによるシワの予防にもつながります。
それぞれ、参考となる記事をご紹介いたします。
<参考記事>
日常生活の基本:
*アンチエイジング的生活習慣は肌老化予防にエイジングケアより大切
シワ予防の食べ物:
*スーパーフードはアンチエイジング・美容・ダイエットに効果!
*アーモンドを食べる習慣のある人は顔のシワが少ない?研究結果発表!
良質な睡眠をとる方法:
*美肌は質の高い睡眠中に作られる!3つのホルモンを活かす4つの対策
適度な運動:
そして、「たるみ」および「シワ」それぞれを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
<たるみに関する参考記事>
*ほうれい線の原因と10代、20代、30代、40代、50代の特徴
*目の下のたるみの予防と改善・解消!全てが学べる7つのポイント
<シワに関する参考記事>
4.編集後記
「角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!」をお届けしました。
角層のはたらきや肌のバリア機能、ターンオーバーなどのスキンケアに関連する研究は、約50年前にクリーグマン博士が経表皮水分喪失量を測定する機器を発明してから急速に発展してきました。今回ご紹介した研究では、角層細胞が伸縮刺激や皮膚の動きによって、表面積を広げたいところ、逆に広げたくないところでサイズを決めているという興味深い内容でした。
この「角層細胞が顔のたるみ、シワの形を決めていることがわかった!」がナールスエイジングケアアカデミーの読者の皆様にとって、お役に立てれば幸いです。
著者・編集者・校正者情報
医学出版社、医学系広告代理店にて編集・ライターとして、医師向け、患者向けの情報提供資材や書籍等の記事の編集・執筆や、国内・海外医学会取材・記事執筆を行う。
(編集・校正:株式会社ディープインパクト 代表取締役 富本充昭)
京都大学農学部を卒業後、製薬企業に7年間勤務の後、医学出版社、医学系広告代理店勤務の後、現職に至る。
医薬品の開発支援業務、医学系学会の取材や記事執筆、医薬品マーケティング関連のセミナー講師などを行う。
一般社団法人化粧品成分検定協会認定化粧品成分上級スペシャリスト
著作(共著)
当社スタッフの本業は、医学・薬学関連の事業のため、日々、医学論文や医学会の発表などの最新情報に触れています。
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